SUV界の異端児なのに大ヒット! ついに生産終了する「C-HR」の歴史 (2/2ページ)

使い勝手も良くバリエーションにも富んでいた

 当初、日本仕様のミッションはCVTのみだったのだが、2019年10月の一部改良のタイミングでi-MTと呼ばれる6速MTを設定。i-MTとは、トヨタとアイシンエーアイが共同開発した6速マニュアルミッションで、「i=インテリジェント」というだけあって、シフト操作の際、エンジンの回転数を自動で調整し、変速ショックを抑え、変速、発進操作をアシストしてくれる先進的かつ画期的なマニュアルミッションだ(ON/OFFが可能)。

 電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能も備わり、MTでも快適にドライブを楽しみたいユーザーに刺さったのは当然と言っていいだろう。そしてクロスオーバーモデルのMT車と言う特異な設定にも、多くのMT派ドライバーが拍手を送ったものだった。

 そのタイミングでGAZOO Racingが手掛けたGR SPORTグレードを新設定。ボディ、足まわり、19インチとなったスポーツタイヤ、専用チューニングの足まわり、パワーステアリングなど、GR化は多岐に渡っていた。

 2018年8月には先進運転支援機能の予防安全パッケージ、トヨタセーフティセンスを強化。もしいま、新車を手に入れることがままならず、中古車を狙って長く乗るのであれば、先進運転支援機能の観点からもこの年式以降のC-HRをお薦めする。

 そんなC-HRの走行性能は、鍛え抜かれたアスリートのようなエクステリアデザインにして、プリウスベースということもあり、標準車のHVの場合、ある意味フツー。出足のトルク感はモーターアシストもあって分厚く、軽やかに加速し走りやすいものの、全開加速では格別に速いという印象はない。エンジンをガンガンまわしてスポーティに走りたい……というなら、エンジンの高回転域の伸びやかさある1.2リッターのガソリンターボがいいだろう。ちなみに後席はベースとなった4代目プリウスより狭いものの、ラゲッジスペースは意外なほど広く使いやすい。HVモデルならAC100V/1500Wコンセントも装備可能だ。

 そして、2022年8月にはHV、ガソリンターボモデルにMode-Nero Safety Plus IIIといった特別仕様車も展開。2023年の販売台数は1月が1182台で41位、2月は1454台で34位。1-3位を占めるトヨタ車としては不振といってよく、いまではヤリスクロスやカローラクロスといった車格の近いクロスオーバーモデルからRAV4、ハリアーなどがトヨタのクロスオーバーモデルとして幅を利かせているため、個性が強すぎるC-HRの生産中止もやむなき……なのだろうが、そのカッコ良さはボクたちの記憶に永遠に残るに違いない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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