笑っちゃうほどバカッ速! VWのEV戦略のイメージリーダーとして開発された「ID.R」のパフォーマンスが凄すぎて絶句 (2/2ページ)

新記録連発でID.ブランドを軌道に乗せた立役者

 そして250日間という、きわめて短い開発期間で完成されたID.Rは、予定どおり2018年のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムにエントリーした。ちなみにそれまでのEVによる記録は、2016年にDrive eO PP100をドライブしたリース・ミレンが樹立した8分57秒118。フォルクスワーゲン、そしてドライバーとして抜擢されたロマン・デュマにとって唯一の目標は、このタイムを上まわるタイムを記録することにほかならなかった。その成否はID.ブランドの将来にさえ大きな影響を及ぼすことになるのだから。

 結果、ID.Rはこのヒルクライムを8分以内で走破した初のクルマとなる、7分57秒148の記録で見事に優勝。走行中の平均速度は150.9km/h。それは誰の目にも電気自動車が未来のツールとなり、またモータースポーツの世界においても、いつの日か主流となることを印象づけた瞬間でもあった。フォルクスワーゲンの賭けは見事に功を奏したのだ。

 ID.Rはその後もさまざまなステージでその圧倒的な運動性能をアピールし続ける。2019年にはニュルブルクリンクのノルドシュライフェを6分5秒336のタイムでラップ。コーナリングでの最大横Gは、この時3.49Gにも達したというから、いかにID.Rがレーシングカーとして優秀なモデルであったのかが良く理解できる。

 また、この年にはグッドウッドのフェスティバル・オブ・スピードのヒルクライムで、これまで通りロマン・デュマのドライブで39秒90を記録。そのパフォーマンスは誰もが認めるところとなった。

 フォルクスワーゲンはさらに、このID.Rのエボリューションモデルの開発に乗り出したと見られるが、残念ながらそれが表舞台に表れることはなかった。そしてID.ブランドは、現在のようにフォルクスワーゲンの電気自動車ブランドとして、より生活の中で身近にある存在となったのである。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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