「フィット」「プリウス」「ワゴンR」……かつてバカ売れしたクルマのいまは? 最盛期と現在を比べてみた (2/2ページ)

ライバル車種とのシェア争いで商品の特徴が目立たなくなった

■トヨタ・プリウス(シリーズ合計)

・最盛期:2012年/1カ月平均登録台数:2万6500台

・2022年の1カ月平均登録台数:2700台

 初代プリウスは、世界初の量産ハイブリッドとして1997年に発売された。もっとも多く売れたのは2009年に発売された3代目で、東日本大震災を挟んで2010年と2012年には、それぞれ1カ月平均で2万6000台以上を登録した。

 人気の秘訣は優れた商品力だ。3代目は2代目に比べて動力性能と居住性を向上させ、安全装備も充実させながら、価格は2代目インサイトに対抗して割安だった。販売系列も、2代目はトヨタ店とトヨペット店だが、3代目はカローラ店とネッツ店を加えて全店扱いになっている。

 しかし、その後はトヨタの幅広い車種にハイブリッドが用意され、4代目の先代型は外観も不評だったから、プリウスは売れ行きを急落させた。2022年の1カ月平均登録台数は2700台だから、最盛期のわずか10分の1だ。

 そこで2023年に発売された5代目の現行型は、低燃費や実用性ではなく、モーター駆動による走りの良さという付加価値に重点を置いた。全高も40mm下げて重心を低く抑え、居住性や乗降性よりもカッコ良さを優先させて、外観は5ドアクーペ風に変更されている。

■ホンダフィット

・最盛期:2002年/1カ月平均登録台数:2万900台

・2022年の1カ月平均登録台数:5000台

 初代フィットは2001年に発売されてヒット作になり、2002年には1カ月平均2万900台を登録して国内販売の1位になった。全高を立体駐車場が使いやすい高さに抑えながら、燃料タンクを前席の下に搭載して居住空間と荷室が広い。1.3リッターエンジンは実用回転域の駆動力が高く、燃費性能も優れていた。しかも価格は主力グレードのAが114万5000円と安く、ヒット作になった。

 ところがこの後、ライバル車も競争力を強め、2011年にはN-BOXが加わった。フィットは身内のホンダ車にも顧客を奪われ、売れ行きを下げた。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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