日本の普通のハイブリッドが凄すぎるのも要因!? BEVとPHEVを合わせてもたった3%しか売れていない現状とこの先はどうなる? (2/2ページ)

日本の住宅事情も普及の足かせとなる

 プラグインハイブリッドと電気自動車の売れ行きが鈍い2つ目の理由は、日本に集合住宅が多いことだ。総世帯数の40%がマンションなどの集合住宅に住む。そうなると現実的には、自宅に充電設備を設置しにくい。一部の新築マンションは充電設備を備えるが、自治体や管理組合の許可を得て、スペースも確保して、後から設置するのはきわめて困難だ。

 そして充電設備を設置できる一戸建ての住宅は、公共の交通機関を利用しにくい地域に多く、複数の軽自動車を所有する世帯が目立つ。それなのに電気自動車やプラグインハイブリッドは、3ナンバーサイズの普通車が中心だから、一戸建ての世帯とは親和性が低いのだ。

 逆に3ナンバー車は主に都市部で所有され、世帯数に占める集合住宅の割合は、地域によっては70%前後に達する。そうなると前述のとおり、電気自動車やプラグインハイブリッドは買いたくても購入できない。

 ちなみに電気自動車で例外的に販売の好調な車種にサクラがある。2023年1〜4月には、1カ月平均で3400台が届け出され、同じ日産のデイズを上まわった。サクラが電気自動車なのに好調に売れる理由は、軽自動車であるからだ。一戸建てに住む複数のクルマを所有する世帯も購入しやすく、遠方まで出かける時は、併用する普通車を使うから、1回の充電で走れる距離がWLTCモードで180kmでも不満は生じない。

 さらに補助金は経済産業省だけでも1台当たり45万円(発売当初は55万円)だ。車両価格に占める補助金の割合は、普通車の電気自動車よりも多く、買い得度も強い。電気自動車と軽自動車は、親和性が高くヒットに結び付いた。

 日本では軽自動車の販売比率が高く、それは電気自動車にも当てはまる。2023年3月(単月)で見ると、国内で登録/届け出された電気自動車の内、サクラとeKクロスEVだけでも28%を占めた。今後は軽商用車も含めて、電気自動車は、軽自動車を中心に普及していく。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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