フィアットの「ネズミ」がEVで復活! トポリーノと名付けられたクルマの正体とは? (2/2ページ)

小まわり性能バツグン!

 また、アミの例から考えると、やっぱり市街地のコミューター向きで、かの地では「Free2Move」などシェアリングサービスで使われることも多いとか。たとえば、某国では1分間31円程度の料金設定がなされているそうで、同サービスの小型スクーターが1分19円という料金に比べれば、ふたり乗りや雨の日を考えると経済的で便利かと。

 また、便利といえばコンパクトなサイズゆえの小まわり性能は驚くほど! アミの最小回転半径は3.6mと自転車みたいなUターンもできちゃうわけで、当然トポリーノもその美点を受け継いでいることでしょう。もともと、イタリアはちょっと裏道に入るとトポリーノのサイズでないと走りたくない細道ばかり。1950年代に初代がバカウケしたのも、ミニマムサイズがそうした交通環境にマッチしたことと決して無関係ではなさそうですから、やっぱりトポリーノのネーミングは的を射たもの。

 ただし、アミ同様にエアバッグ未装備とか小まわり効きすぎてロールオーバーしやすいといったネガを指摘する声もあるようです。もっとも、最高速45km/hでシティコミューターとして使うならさほど気にするポイントとも思えません。むしろ、鋭いハンドリングを利してルパン三世ばりに混雑した道をスイスイすり抜けていくシーンを想像したほうがはるかに楽しげですよね。

 気になるお値段ですが、1万ユーロ程度(およそ150万円)が予定されているようです。日本への正規導入についてアナウンスはありませんが、もしなかったとしても、並行輸入してでも乗りたい、そんな気にさせてくれます。

 なんでもかんでもEV化する風潮に辟易しかけていたクルマ好きにとっては、トポリーノの名前だけでなく、ビーチカーの雰囲気まで再現してきたことに、いくらか救われるのではないでしょうか。パレルモやシチリアのシーサイドで、EVトポリーノが走りまわっている姿、想像するだけでいまから楽しみでなりません!


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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