なぜクルマ好きになったかは不明! されど「生き様」に深くかかわった【クルマのプロに聞く! あなたにとってのクルマとは? 御堀直嗣編】 (2/2ページ)

馬に乗ったことでクルマへの興味がさらに深くなった

 48歳のとき、縁があって乗馬を始めた。乗馬を始めてみると、馬は、自転車やバイクよりクルマに近い感触であることを知った。騎乗姿は2輪車風だが、馬は4つ足動物である。4輪車に近い乗馬感覚は、当然に思えた。

 右まわりと左まわりで足の運びが異なり、それに合わせて馬に指示を与え操らなければならない。ハンドル操作と同じだ。障害飛越の競技は、まるでジムカーナのようだ。いや、ジムカーナのほうがあとから考えられたはずだ。4000年の歴史を持つ馬での障害飛越のほうが、先に生まれた競技に違いない。

 エンジン自動車の祖とされる、カール・ベンツのパテント・モートルヴァーゲンは、前輪が1輪の3輪車だった。それはベンツがコーナリングを重視していた証だ。当時は、アッカーマン・ジャントーという前輪操舵の手法が世になく、内輪と外輪で操舵角度が異なり、滑らかに旋回させる術がなかったからだ。そこにこだわったベンツの思考は、馬の右まわりと左まわりで足の運びが異なるという、馬の駈歩(かけあし)の仕方があったからではないか? というのが、私の考察だ。その点で、ゴットリープ・ダイムラーよりベンツのほうが、単にエンジンを利用するだけでない、クルマの運動特性まで考慮した凄さだと思っている。

 乗馬は奥が深い。

 そのうえでのクルマ、そしてエンジンからモーターへ駆動が移る技術的変化や、環境適合、自動運転などなど、クルマへの興味は尽きないのである。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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