新型N-BOXのデザインって先代とあんまり変わってない……と思ったらめちゃめちゃ計算されてた! デザイナーに直撃してわかった「考え抜かれたシンプル」の美学 (1/2ページ)

この記事をまとめると

N-BOXは3代目となる現行型が新型として販売されている

■先代モデルと大きくデザインを変えていないことが話題となった

エクステリアデザインの担当者にデザインの特徴を聞いてみた

デザインをあまり変えなかったN-BOXの秘密を直撃

 10月6日に発売となったホンダの新型N-BOX。そのスタイリングについては「ほとんど変わらない」「意外に進化している」などさまざまな感想が聞かれます。そこで、今回はあらためてエクステリアデザインを担当した小向さんに新型の特徴についてお話を聞いてみました。

足し算ではなく、要素を減らしたシンプルなデザイン

──では最初に、新型のデザインの方向性はどのように決まったのかを教えてください。

「先代は強いキャラクターラインや、明快に表現したホイールアーチなど、とてもわかりやすい構成が特徴でした。新型はグランドコンセプトである「HAPPY Rhythm」、つまり日常生活に溶け込むスタイルとして、足し算ではなくシンプルで、できるだけ要素を減らしたいと考えた。そのうえで、しっかりしたサイドビューなどの「N-BOXらしさ」を表現したかったんです」。

──パッケージは基本的に先代に準じますが、肩まわりの空間や前方視界の向上が挙げられていますね。

「はい。肩まわりでは、とくにリヤシートに大人が座った場合でも満足でき、かつドアのティッシュトレイなどの使い勝手も考慮して55mm広げています。また、前方についてはインパネをフラットに低くすることで「見下げ視界」を改善しましたが、これはとくに女性や年配のユーザーさまからの声に対応したものですね」。

──次にフロントについて伺います。標準車は特徴的な丸穴グリルと、背面をブラックとしたランプがユニークですね。

「今回はボディ全体のカタマリ感を重視していますので、グリルも面で見せたかった。できるだけ開口面積を小さくしたかったワケですね。ランプについては、リング状の形をシグネチャーとしてしっかり見せるために黒くしました。点灯しているときも丸いグラフィックを見せたかったんです」。

──カスタムのグリルでは6角形のような不思議な形のメッキパーツが特徴的ですが、これは何かモチーフがあったのでしょうか?

「いえ、とくにモチーフはなく、よりワイドに見せるための形状です。当初はグリルに沿った単純なU字形だったのですが、それでは広がりが感じられない。そこで一旦大きく広げてから戻すような形にしたワケです。また、カスタムのランプはグリル形状に合わせて内側を「寝かせて」いるのですが、これもワイド感を出すためなんです」。

──なるほど、標準型と形状が異なるんですね。次にボディサイドについて伺います。新型は強いカタマリ感が特徴ですが、具体的にサイド面はどのような断面としたのでしょうか?

「先代はウインドウ下端部を張り出させていたのですが、新型はルーフからボディ下部までをひとつの大きな面としています。難しかったのはホイールアーチで、先代は面を1回折り込んで寸法を稼いでいたのに対し、新型は大きな流れのなかで内側に入れてから張り出させている。ただ、リヤは要素が多くその手法も難しいので、ドア面から少しずつ面の張りを流しているんです」。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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