積極推進派だったハズのフォルクスワーゲンがEVを減産! 「EVシフトに陰り」の声もあるが判断は時期尚早 (2/2ページ)

カーボンニュートラルに向けた動きは外的要因でも大きく変化する

 これによって、欧州域内で販売される新車の電動化に対する規制が強化され、2035年には乗用車と小型商用車は100%ZEV(EVまた燃料電池車)とすると規定した。ただし、ドイツなどの欧州自動車メーカーがこの規定実現は難しいとして、ドイツが「合成燃料を使う内燃機関も含めるべき」との提案を出し、結果的に欧州連合はそれを受諾している。

 今後も、欧州域内での国や地域における電動化に向けたインフラ整備や、国や地域における補助金のあり方などによって、EV市場の動向はさらに変化する可能性もあり得るといえる。また、ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルによるガザ地区への攻撃など、エネルギー安全保障の面から、欧州におけるエネルギー需給の状況も変化することもあるだろう。さらには、アメリカと中国における経済摩擦も欧州自動車市場に少なからず影響が及んでいる状況だ。

 いずれにしても、欧州のEVシフトに限らず、グローバルの自動車産業におけるカーボンニュートラルに向けた今後の動きを正確に予測することは極めて困難な状況だ。これは筆者の個人的見解としてだけではなく、直近で欧米日の自動車メーカー幹部と意見交換するなかでの共通意見でもある。

 フォルクスワーゲンは欧州メーカーのなかではいち早くEVシフトを表明した企業である。そのフォルクスワーゲンの一時的なEV減産は事実ではあるが、これをもって欧州でのEVシフトに陰りが見えたと考えるのは時期尚早に思える。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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