シビックに「RS」が帰ってくる! 見た目は地味だけど「アラ古希」のハートをときめかせた初代シビックRSとは (2/2ページ)

見た目はほとんど普通のシビックだった「RS」

 爽快に吹き上がるエンジンや5速MTとの組み合わせにより、スポーツハッチバックらしい軽快な走りっぷりが味わえた。当時は販売促進用のカタログにも最高速度が記される時代であり、5速MTを採用したシビックRSの最高速は160km/hとなっている。

 動力性能面では存在感の大きさを示したシビックRSだが、いっぽう外観においてはベースモデルであるGLからの変更点は多くない。前後のバンパーにラバー製のオーバーライダーが装着されたことと、155SR13サイズのラジアルタイヤやブラック塗装のホイール、そしてフロントグリル内側やリヤハッチ下に配されたRSのエンブレムが外観上における識別点だ。

 内装ではブラックの表皮を採用したセミバケットシートのほか、スポーク部分にウッド素材を採用したステアリング、同じくウッド素材を採用したシフトノブを標準装備。さらに、ダッシュボードにも木目パネルが貼られ、スポーティムードが高められた。

 あくまで公道におけるドライビングの楽しさを追求したシビックRSだったが、その優れた走行性能はモータースポーツシーンでも存分に発揮された。1970年代に人気を集めていた富士スピードウェイでのマイナーツーリング(TSレース)では、トヨタ・スターレットや日産・サニーと戦いを繰り広げ、シリーズチャンピオンにも輝いている。

 そんな強烈なインパクトを与えたシビックRSだったが、その登場直前に訪れた第一次オイルショックの影響は大きく、スポーティグレードへの風向きは決して追い風ではなかった。さらに、姉妹車であるシビックの1.5リッター車に、排出ガス浄化技術のCVCCを採用したエンジンが搭載されて世界的な大ヒットとなったことから、シビックの全モデルにCVCCを採用する流れとなり、シビックRSは1975年8月に事実上の後継モデルである1500RSLへとバトンタッチが行われた。

※写真はCVCCエンジン搭載の通常モデル

 1974年10月に発売されて多くの人気を集めながら、販売期間が1年にも満たない1975年8月に販売終了となってしまったシビックRS。しかしながら、特徴的だったオレンジのボディカラーと合わせて「RS」の印象は強く、のちにコンパクトFFハッチバックのフィットにRSが設定された際も、サンセットオレンジ IIという車体色が復活を果たしている。

 2024年に登場するシビックRSは、はたしてどのような衝撃をホンダファンに与えてくれるのか、大いに期待して待ちたいところだ。


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