メッキってそもそも何? ぴかぴかに輝く「クルマのパーツ」の剥がれやキズの補修方法とは (2/2ページ)

簡単に補修できる場合も!

メッキに見えてじつはステンレスの薄板だった場合の補修

 昨今のクルマのウインドウのモールなどでは、メッキパーツに見えて、実際はステンレスをポリッシュ(研磨)したパーツが使われているケースも多く見られます。

 この場合は、薄板とは言っても表面から下地までが一体式の同じ素材となっているので、もし傷が入ってしまったりした場合は、研磨のし直しという補修が一般的です。

 滅多なことでは傷が入ったりする箇所ではありませんが、万が一そうなってしまった場合は、ペーパー(紙ヤスリ)などで傷を削って落としたうえで、より細かいペーパーやコンパウンドで表面を磨いて傷を目立たなくするのが最善でしょう。

樹脂の蒸着メッキの補修

 グリルの格子や、内装パーツの装飾などでいま多く使われているのが「(真空)蒸着メッキ」と言われる手法です。

 金属パーツにおこなう「クロムメッキ」は電解質の液体に部品を浸しておこないますが、「(真空)蒸着メッキ」の場合は、真空にしたチェンバー(容器の中)のなかに納めた部品に、電気で蒸発させて気化した金属を定着させる方法です。

 この手法の利点は素材を選ばないことです。「クロムメッキ」のような電解メッキは電気を通す金属にしか施工できませんでしたが、この「(真空)蒸着メッキ」はとんどの素材にメッキが可能です。

 欠点は、被膜の強度がクロムメッキに劣るという点でしょうか。とくに樹脂などの柔らかい素材に施す場合は、素地の変形に追従しきれずに剥離してしまうこともあります。

 この方法も「クロムメッキ」と同様に、均一の皮膜が全体に広がっているため、一部の欠損の補修は困難で、こちらも、再度下地を作り直して「再メッキ」という手法が最善です。

■それでも補修したい場合は?

 結局のところ、メッキというのは特殊な方法を使って金属のコーティングをおこなうことなので、補修というのは難しいと言わざるをえません。

 しかし、いまの世の中、いろんな技術革新がおこなわれているので、完全なリフレッシュは無理でも、目立たないようにレタッチするのはそれなりに可能なようです。

 たとえば、いまは通販のキットで、狭い範囲に限り電解メッキと同じ行程を施すことができるものも出てきています。

 この方法なら、いちおう金属の素材で表面を覆い直すので目立たなくすることは可能ですが、近づいてで見ると、「あ、ここ補修したね」と指摘を受けてしまうのは避けられないと思います。

綺麗なクルマの必須パーツ「メッキ」の補修の仕方とは

 もうひとつのレタッチ方法としては、メッキ調の輝きを出せる塗料で覆い隠すという手法です。高価なものでは、「銀鏡反応」を使ったコーティング方法(ガラスの鏡など)でおこなう塗装技術もありますが、もっと身近な例としては、筆塗りやエアブラシでおこなう塗装用の塗料で、メッキに近い輝きで仕上げられるものもあるので、それを使うという方法もあります。

 具体的には、「クレオス」の「ガンダムマーカー」という商品があります。これはペン型の商品で、エナメルよりも輝きが強く仕上がるというものです。

 これまでの塗装によるメタリック仕上げとは一線を画す仕上がりで、シルバー塗装のようなつぶつぶ感を排除したなめらかな輝きに仕上げることができます。探せば類似の商品が、ペンタイプに留まらず、スプレータイプなどいろいろ出ているのでチェックしてみてください。

 とはいえ、本家の「クロムメッキ」や「蒸着メッキ」のキラキラした輝きには及ばず、面積が広いほど「あ、ココ補修したね」とバレてしまうくらいの差があります。

 そうは言いましたが、差は確実にあるものの、補修していない状態と比べたら雲泥の差なのは確かなので、「明らかにはがれていますね?」という状態から、「よく見ないと、遠目からは分からないね」という程度までは復活できます。塗料としてみれば少々割だかな値段設定ですが、応急処置としてはけっこう使えるアイテムだと思います。

 万が一失敗してしまっても、溶剤で拭き取って再度塗装し直せるので、ダメ元でやってみる価値はあるのではないかと思います。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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