【試乗】新型フォレスターのパワートレイン選びが悩ましすぎる! S:HEVとターボを公道で乗ったら「個性クッキリ」もどちらも素晴らしい!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■新型フォレスターの2グレードに公道で試乗

■ハイブリッドとターボは走りの特性がハッキリと異なる

■S:HEVでは厳しい悪路も走行したが本物の悪路走破性をもっていた

どちらも素晴らしい上質さ! ハンドリングは個性クッキリ

 スバルの主力SUV「フォレスター」が大きく生まれ変わった。今回は新型フォレスターの2モデル、すなわち新たに搭載されたストロングハイブリッド仕様(S:HEV)と、従来型から進化し搭載された1.8リッター直噴ガソリンターボエンジン仕様の比較試乗を行った。一般道、高速道路と、環境を変えながら走り込むことで、それぞれのパワートレインがもつ特性とAWDの熟成度を解説していこう。

フォレスターと中谷明彦氏

 まず新型フォレスターの基本構造を見る。プラットフォームは引き続きSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を採用。高剛性でさらに衝突安全性を高め、高いバランスを実現した骨格である。そのうえで車体重量の増加を最低限に抑えている。S:HEVでは1780kg前後、ガソリンターボモデルは1700kg台となっており、見た目同様、その内容は大幅に刷新されている。特筆すべきは、最低地上高がS:HEV、ガソリンターボとも220mmと大きく設定されていることだ。これは、スバルが「本物のSUV」としての走破性にこだわっている証しである。

新型フォレスターPremium EXのリヤスタイリング

 今回試乗したS:HEVモデルは、88kW/270Nmを発するハイパワー駆動モーターとリチウムイオンバッテリーを組み合わせた本格的な電動化パワートレインとして構成されている。スバルがトヨタとの技術協業により開発したユニットにはトヨタの誇るTHS II(トヨタハイブリッドシステム)同様の動力分割機構が採用されており、シリーズ/パラレル方式のフルハイブリッドとして機能する。組み合わされるエンジンは2.5リッター水平対向4気筒直噴で、従来のトランスミッション部に強力なジュネレーターモーターと駆動モーターが直列に配置されている。

新型フォレスターのS:HEVのパワーユニット

 対する1.8リッター直噴水平対向4気筒ターボは、ストイキ領域とリーンバーン燃焼の制御をより緻密化し1600rpmから3600rpmまで最大トルクの300Nmを引き出せるトルク特性に仕上げられた。これにリニアトロニックCVTが連結され、S:HEVと共にプロペラシャフトを介してリアアクスルにもトルクを伝達するAWDとして仕上げられている。

新型フォレスターの1.8Lターボエンジン

 まず一般道におけるインプレッションから始めよう。S:HEVは、EVモードでの発進が可能で驚くほど静粛かつ滑らか。駆動モーターの最大トルク270Nmはアクセルの踏み加減で自在に引き出せるので車重を感じさせない軽快なドライバビリティを示す。エンジン介入のタイミングは車速やアクセル開度で異なるが、クランクシャフトと同軸のジェネレーターモーターがセルモーターに変わりエンジンを始動させるので、振動もなく極めてスムースに移行する。EVモードを備えることで走行ノイズの低減が図られており、ロードノイズやエンジン音の侵入も限定的で、静かで重厚な乗り味となっている。

新型フォレスターPremium EXの走行シーン

 一方、ガソリンターボはアクセルレスポンスが向上し、低速からトルクピックアップに優れていてS:HEVに対して見劣りしない。0-100km/h発進加速タイムはメーカー公表値だとS:HEVが9.6秒。ガソリンターボは8.6秒と、共に従来モデルの12.2秒を大幅に上まわっているという。ただ一般道においてはアクセル開度が少なく、市街地のドライバビリティという面では電動モーターのトルク制御にメリットが感じられる。とはいえ、ガソリンターボに組み合わされるCVTのリニアトロニックトランスミッションは低速ギヤのホールド制御が強化され、とくに平坦路での差は感じにくいレベルに仕上がっていた。

新型フォレスターをドライブする中谷明彦氏

 ステアフィールについては差が明瞭である。S:HEVは電動化ユニットの重量配置が功を奏し、低重心感とコーナリング時の落ち着きが際立つ。SUVとしては非常にバランスがよく、ロールの初期応答もマイルドだ。これに対し、ガソリンターボAWDは明らかに軽量でアジリティに富む。共にデュアルピニオンのパワーステアリングが装着され、これが抜群の操舵フィールを提供してくれる。轍や路面のアンジュレーションからの影響を最小限に抑え、ライントレース性に優れている。

 S:HEV車は19インチ(Premium)、ガソリンターボ車は18インチのタイヤ/ホイールが装着されており、ガソリンターボには日立Astemo製の超飽和ダンパーが4輪に装着されており、乗り心地のソフトさにおいてはガソリン・ターボが好印象。S:HEVの18インチ仕様(X-BREAK)も試してみたいところだ。

新型フォレスターSPORT EXの18インチタイヤ


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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