昭和オヤジ歓喜のTバールーフ! 気がつきゃ消滅した懐かしのTバー国産車を振り返ってみた (3/3ページ)

本格スポーツカー以外にも存在した

●日産サニーNXクーペ

・生産期間:1990年1月~1994年4月
・当時の新車の価格:113.6万〜206.1万円
・中古車の平均価格:89.8万円
・中古車の価格帯:89.8万円

 7代目サニーのクーペモデルとして1990年1月にデビューしたのが「サニーNXクーペ」。おもなターゲットは北米市場における女性オーナーという設定。サニーNXクーペは、Z32型フェアレディZをモチーフにデザインしたとされており、ノーマルルーフおよびTバールーフ仕様が選べるのもその流れを汲んでいるといえそうです。モーフィングと呼ばれる技法を用いたCGを使い、擬人化された黄色いNXクーペが自在に変形するCMは大いに話題となりました。

●スズキ X-90

・生産期間:1995年10月~1998年12月
・当時の新車の価格:136万〜149.8万円
・中古車の平均価格:131.2万円
・中古車の価格帯:59万~278万円

 1995年10月にデビューした「X-90」。1993年に開催された第30回東京モーターショーに参考出品した際のデザインモチーフがほぼそのまま市販化されたモデルであり、3ボックスボディに2シーター、Tバールーフ仕様といったユニークな組み合わせをもつスズキの意欲作であり、数ある日本車においても異端とされるデザインだといえます。ボディは一般的なモノコックではなく、初代エスクードをベースにしたラダーフレームを採用しており、ボディ剛性にも優れたモデルなのです。

●番外編:スズキ カプチーノ

・生産期間:1991年10月~1997年12月
・当時の新車の価格:145.8万〜158.6万円
・中古車の平均価格:122.8万円
・中古車の価格帯:45万~555万円

 スズキの軽オープン2シーターとして人気を博した「カプチーノ」は1991年10月デビュー。Tバールーフ専用ではないけれど、量産車としては世界初となる4通り(ハードトップ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープン)それぞれの状態を楽しむことができました。リヤピラーやボンネットなどにアルミを使用して軽量化を図っているのも特長であり、3速ATモデルが用意されるなど、幅広いユーザーのニーズに応えようと企画されたクルマであることがうかがえます。

●まとめ:Tバールーフ仕様車の現在地とは?

 オーナーインタビューを通じての感覚値ではありますが、新車、ワンオーナーカー、中古車を問わず、現在でもTバールーフを積極的に使っている人は少数派という印象を受けます。その理由として「しばらく外していないから」「(中古車で手に入れてから)一度も外したことがないから」など、理由はさまざま。

 取り外しが面倒という、至極もっともな意見があるいっぽうで「Tバールーフを外したことによる雨漏りが心配」という声も聞かれました。Tバールーフとウェザーストリップが「イイ感じにフィットしているのに、わざわざ外すのはリスクが高い」というのも一理あります。せっかくの装備を有効活用できないのは残念ですが、「Tバールーフ仕様車」の設定があったモデルの多くが30年選手であることを考えると、こればかりは致しかたないのかもしれません。


この記事の画像ギャラリー

松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

新着情報