この記事をまとめると
■タイでは多人数移動にトヨタ・コミューターが主流となっている
■アルファードやレクサスLM風に改造されたコミューターが近年人気になっている
■富裕層向けの私用仕様として独自の文化が醸成されつつある
移動手段を超えたステータスとしての存在
タイでは仕事や観光などでの「移動の足」として多人数乗車できるワゴンバスをチャーターすることが多い。そして、その大半というかほぼすべてが、トヨタ・コミューターという、海外でのハイエースをベースとしたマイクロバス仕様のようなモデルとなっている。過去には日本でのハイエースワゴンがその役を担っており、いまもそれはそれで現地にて活躍している。ハイエースワゴン仕様では内装やシートを特別架装して豪華にすることが多かったのだが、現行コミューターになってからは見た目架装が流行っているようである。
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2025年11月29日から12月10日の会期にてタイの首都バンコク近郊で開催された「モーターエキスポ2025(第42回タイランド・国際・モーターエキスポ2025/通称:バンコクモーターエキスポ)」では、四輪車や二輪車メーカーのほか自動車関連用品の出展もあるのだが、そのなかにコミューターの改造業者もいくつか出展していた。
顔つきをアルファードやレクサスLM風にするのが、コミューターではニーズがあるようなのである。ぱっと見るとアルファードやレクサスLMが置いてあるのかと思うのだが、よく見るとボディは長く違うクルマで、コミューターをベースに顔つきを変えていたのである。
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そのままアルファードやレクサスLMのフロント部分が移植できるのかは定かではないが、そのリアルな顔つきの再現はハンパないものとなっていた。さすがにアルファードやレクサスLMの顔をそのまま移植するのは難しいようなのだが、それを可能にしてしまう職人集団が存在するらしいという話を現地で聞くことができた。とはいえ、なかには完成度がいまひとつのものもある。もちろん内装もそれなりにゴージャスなものに架装されている。
タイでは日本車が圧倒的に多く売れており、そのなかでも一部車種がとくに多く売れている。「他人と同じままだと嫌だ」というひとも多く、自分のクルマをいろいろとカスタマイズするケースも多い。その流れで、アルファードやレクサスLM顔のコミューターというものが出てきたのだろう。
仮にビジネスでの移動用でそれらがくれば、筆者ならば少々恥ずかしい気もちになるが、多人数での移動用ではなく4席でキャンピングカーのようにベッドになるような仕様もあり、富裕層がプライベートジェット感覚で使うというニーズを満たしているようである。多人数移動用のコミューターでは、アルファードやレクサスLM顔は見かけなかった。
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今回、バンコク首都圏を訪れると、供給体制がよくなったのか2025年春に訪れたときよりも現行アルファードを街なかで多く見かけるようになった、レクサスLMも東京都内ほどではないもののよく見かける。富裕層の日常生活での移動用車両がアルファードやレクサスLMとなっていることが多く、そこで前述したように「同じクルマでは嫌だ」という富裕層が、アルファードやレクサスLM顔で、移動オフィスのように内装もいじったコミューターに乗っているのだろう。裏を返せば、それだけアルファードやレクサスLMのステイタスが高すぎるのかもしれない。