速さこそが命のGT-Rにあって異質の存在! たった40台しか売れなかった激レアグレード「EGOIST」とは (2/2ページ)

プレミアムスポーツを目指した異色の1台

「え、シートだけ?」、いやいや。そんなことはない。EGOISTの凄みはまだまだある。ステアリングの中央に貼り付けられる真紅のRバッジ。これは日本の伝統工芸である漆塗り(輪島塗)を採用する(赤いので通常モデルとパッと見では区別がつかないが……)。しかもただ漆を塗るだけでなく、伝統工芸士の久保田 栄氏による漆加飾の輪島蒔絵を用いるという、日本車であることを感じさせる和の演出が、ドライバーを迎え入れるのだ。

 なお、R35GT-Rといえば、プレミアムオーディオブランドでお馴染みのBOSE製オーディオを一部グレードで採用しているのだが、このオーディオもEGOISTでは専用設計となる。というのも、EGOISTに採用されるオーディオは、高剛性・高減衰により雑振動を打ち消すカーボンコンポジットのベースに新開発の専用ウーハーを装着し、さらにBOSEのスタッフがオーナーのドライビングポジションにあわせて専用の音質セッティングを行うというのだ。ちなみに、このオーディオ、EGOIST以外のモデルでオプションとして頼むと120万円ほどしたそう。センターコンソールには、誇らしげにゴールドのエンブレムが貼り付けられる。

 ここまで車内の説明をしたが、そこはやはりGT-R。走りの面も妥協しない。たとえばエキゾースト。これは先述したスペックVと同じチタン製を採用し、軽量化と排気効率アップを実現する。リヤスポイラーは通常モデルと同じ形としながらも、スペックVと同じカーボン製のモノを装備する。GT-Rのエンブレムの下には「EGOIST」のバッジが控えめに取り付けられている演出も心憎い。

 足まわりもサスペンションは専用セッティングとしているほか、こちらもスペックVと同じデザインのRAYS製鍛造ホイールがインストールされ、バネ下重量の軽減に一役買っている。ちなみに5コート塗装となる、新開発ブルースウォードクロームカラーコートを施しているそうだ。

 いまでこそ、インテリアが豪華なスーパースポーツなんてありふれているが、この当時、日産が踏み込んだ「スポーツ×ラグジュアリー」の構成は、時代を先取りしたモデルだったといえるだろう。そのせいか、このEGOISTは40台ほどしかデリバリーされなかったという、幻に近い激レアモデルでもあるのだ。

 MY11と呼ばれるこの時期のR35GT-Rは、もっともベーシックなモデルである「Pure edition」で869万4000円であったのに対し、EGOISTは1500万300円、スペックVは1575万円と超高額であった。スペックVは1セット500万円オーバーのカーボン製ブレーキローターや、スクランブルブーストスイッチなど、GT-Rのキャラクターにピッタリな体育会系のハイパフォーマンスモデルだったのに対し、このEGOISTは、プレミアム性を重視したことが、この40台という販売台数の背景かもしれない。

 余談だが、この激レアなEGOIST、現在(2026年3月20日時点)で中古車が2台、1278万〜1498万円と、ほぼ新車と変わらない値段で販売されている。

 プレミアムの5文字に全振りしたEGOISTは、GT-Rというキャラクターを考えたらかなり異質と言えるのではないだろうか。国産車にいままでなかった、なにもかも異次元なクルマだっただけに、日産も手探りのなか、R35GT-Rの可能性を模索した末に生まれた、いまとなってはチャレンジングな1台だったといえる。

 もし街なかで見かけたら、ぜひ拝んで欲しい1台だ。


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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