ウイング車を扱う人の多くが抱える悩み
センターシート以外にも、雨漏りの原因は複数ある。荷台外周部やキャビンとの接合部に使われているシール材が老朽化すると、硬化や縮みによって隙間が生じてしまう。また、排水のためのドレン穴が泥やごみで詰まると、本来外へ流れるべき水が滞留し、庫内へまわりこむことがある。ウイング車の雨漏り対策では、シートだけでなく、シール材、板金、排水経路まで含めて点検する必要があるということだ。
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ウイング車の弱点ともいえる雨漏り問題だが、もちろん解決法も多くあり、大きく分けて応急処置と本格修理のふたつがある。
小さな穴やひび割れであれば、トラック用の補修テープを貼る方法がある。センターシート用の補修テープは、既存のセンターシートの上から貼り付けることで、短時間かつ比較的低コストで雨漏りリスクを抑えられる。ただし、補修テープは万能ではないため、劣化が広範囲に及んでいる場合、表面だけをふさいでも別の場所から漏れることがある。また、シートそのものの柔軟性が失われていれば、開閉のたびに新たな割れが生じる可能性もある。
そのような場合は、センターシートの張り替えや、上から新しい防水シートを施工する方法が現実的だ。既存のセンターシートを撤去せず、上部から特殊なシートを貼り込んで防水性を高める施工もあり、施工時間やコストを抑えられる方法もあるのだ。
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こうした雨漏りの補修だが、本格的な修理になると、原因箇所の特定が第一となる。庫内に水滴があるからといって、その真上だけを直せばよいとは限らず、散水テストを行い、屋根中央、左右のウイング接合部、前後の上部、扉周辺、シール部、ドレン周辺を順に確認するわけだ。
さらに、雨漏り対策を深堀していくと、荷主との信頼にもかかわってくることがわかる。段ボール、紙製品、家電、精密部品、食品包装材などは、水濡れによって商品価値を大きく損なう。たとえ外箱の一部が濡れただけでも、納品先で受け取りを拒否されることもある。雨漏りは車両の不具合であると同時に、輸送品質の問題でもある。運送会社にとっては、修理費を惜しんだ結果、荷主クレームや賠償、信用低下につながるリスクがあるので最大限注意すべき問題なのだ。
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では、「雨漏りしないウイング車」は存在するのだろうか。厳密にいえば、可動部を持つ以上、絶対に雨漏りしないと断言できる車両はない。新車時には高い水密性をもっていても、年数、走行距離、積み降ろし頻度、保管環境、紫外線、架装の個体差によって状態は変わるからだ。
近年は、センターシートの張り替えや上貼り補修、専用補修テープなど、雨漏り対策の選択肢も増えているが、裏を返せば、ウイング車の雨漏りがそれだけ現場で一般的な悩みであることを示している。