この記事をまとめると
■フランス車は独創性と合理性を重視しているとされる
■メカやデザインに独特の思想が色濃く表れる
■移動の自由を重んじる哲学がいまでも息づいているといえるだろう
なぜフランス車は「わかりにくい」のか
フランス車はドイツ車やイタリア車に比べてわかりにくい、という人は少なくない。この国のクルマに10台以上乗ってきた僕も、特徴はなんとなく掴んでいるつもりではあるが、わかりやすく説明するのは難しい。ドイツ車のように数字できっちり説得する材料は少ないし、イタリア車のようにひと目でわかる芸術的な美しさを備えているわけでもないし。
ただ個人的には、クルマに限らずこの国を説明するときによく使われる、独創的や合理的というフレーズは当てはまると思う。シトロエン2CVやDSなど、昔のフランス車はこの面が飛び抜けていたけれど、いまのクルマでもしっかり味わえる。
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メカニズムでいえば、ルノーのE-TECHハイブリッドがわかりやすいだろう。エンジンとモーターそれぞれにトランスミッションを用意し、前者にはドッグクラッチを採用するなど、日本車のハイブリッドとはまるで違うメカニズム。しかも1.6リッター直列4気筒エンジンなど、既存のメカをうまく活用している。
これ見よがしではなく、しっかり結果に結びつけているのもフランス的で、日本車のハイブリッドが不得意とする高速道路でも燃費がよいし、メカニカルなギヤボックスを変速しながらの走りはダイレクト感にあふれていて楽しい。いずれにしても、フランス以外では生まれなさそうなシステムではないだろうか。
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デザインではシトロエンから独立したプレミアムブランド、DSオートモビルが目を惹く。コンパクトなDS3でも、ドアオープナーはリトラクタブル式だし、インテリアはダイヤモンドで統一したメーターやスイッチ、ウォッチストラップ風シートが鮮烈。
極め付けはインパネなどにおごられるレザーで、パティーヌ(ムラ染)に仕上げている。日本車やドイツ車だったら不良品ではないかとクレームが出そうな仕上げを、粋として取り入れる。大胆な見た目のシートも座り心地は快適。ここでも見掛け倒しっぽいのに中身が伴っている。
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飛び抜けた高級車やスーパーカーが存在しないことも特徴だろう。現在の新車でいえば、最大排気量は2リッターで、全長はすべて5m以下。これも昔からのクルマ好きにとっては、わかりにくいかもしれない。フランスも第二次世界大戦前は、高級車やスーパースポーツを数多く送り出していたが、戦争で多大な損害を受けたことから、その後は小型車中心のラインアップにして、多くの人に移動の自由を提供しようと考えた。
一時は2.7リッター以上に高額な税金を掛けていたほど。その精神がいまに生き続けているといえる。なのでアルピーヌのようなスポーツカーも、公道で楽しめるサイズとパフォーマンスになっている。
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フランス車のミーティングに行っても、シトロエンの2CVよりDSのほうが偉いといった雰囲気はまったくない。そこはオーナーとして、すごくラクなところ。独創性と合理性を楽しみにすることができれば、じつは居心地のよい世界が待っているのだ。