「廉価グレードの象徴」は令和のいま「オシャレアイテム」へと変化していた! いま「鉄チンホイール」が絶賛されるワケ (2/2ページ)

無骨さがカッコいい! 鉄チンホイールの逆襲

 性能的にはスチールホイールはスポーティな走りとはかけ離れたように思うが、アルミホイールが高嶺の花だった時代は、半分に割ってワイド化したり、深リムにしたりするのがチューニング手法としてよく行われていた。アルミホイールが買えたとしてもそのような加工は難しく、安価なスチールホイールならではの方法だった。

 組み合わされるホイールキャップ自体も奮闘していて、アルミホイールに見えるスポークタイプのようなものも売られていた。いま見るとかなり微妙だが、当時は大まじめ。それほどアルミホイールへの憧れは強かったのだ。

 ちなみにその当時からスチールホイールは”鉄チン”と呼ばれるが、ここにも硬派なイメージが漂ってくる。その由来は諸説あって、一番有力とされているのが金属加工で使う「鉄砧(てっちん)」。これは鉄を鍛えるときなどの台座(金床)のことで、スチールホイールの黒くて塊感があるところが重なったからというのが理由だ。

 そして1980年代後半から1990年代、つまりバブルの好景気を経るとアルミホイールが広く普及して、スチールホイール不遇の時代へと突入する。新車のグレード体系も上級はアルミ、ベーシックはスチール+キャップという差別化が当たり前に。メーカーが用意したアルミですらデザインがイマイチと言われ、「新車買ったら社外品のアルミに即交換」なんてこともあり、スチールホイール派にとってはまさに冬の時代だった。

 そのような不遇というか、日陰の存在だったスチールホイール。しかし令和のいま、その価値が見直され、改めて注目を集めている。社外品では「テッチンみたいなアルミ」まで登場しているほどだ。その理由はすでに紹介した強度確保のためのリブと黒光りといった、スチールならではの武骨さなどで、これが最近のアウトドアブームを背景にしたSUVや上げ系などのスタイルとマッチ。先ごろ登場したグランカングーはセンターキャップのみの真っ黒なスチールが道具感を引き立てるスパイスとしていい仕事をしている。ほかにも価格の安さやガリキズへの不安が薄いなど、改めて見ると利点は多い。

 組み合わされるホイールキャップの注目も高まっていて、空力改善のため、凹凸を埋めるべくアルミホイールと組み合わせる例も、プリウスをはじめ増えてきている。

 つまり状況は一転。肝心のデザインはホイールキャップが受け持つが、いまやアルミホイールっぽく見せようとする呪縛から解き放たれ、そのデザインも評価されている。スチールホイールの可能性はここに来て広がってきている!

※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております


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近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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