この記事をまとめると
■バス運転は大きな車体特有の構造から乗用車とは異なる高度な技術が求められる
■先読み運転や左折テクニック、乗客に配慮したペダル操作が重要となる
■技術だけでなく「かもしれない運転」と責任感が安全運行を支えている
全長12mを自在に操る技術
街なかを走っている路線バスや観光バス。乗客として揺られていると気づきにくいが、あの大柄な車体をミリ単位でコントロールするバスの運転は、乗用車とは完全に別次元の難易度といえる。最大の難関は、そのボディサイズと構造的な特性だ。一般的な大型バスは全長約12m・全幅約2.5mに達する。乗用車とは比較にならない大きな車体を操るだけでも骨が折れるが、さらに難しいのは極端に長いホイールベースとフロントオーバーハングの存在である。
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バスは、運転席が前輪よりもさらに前に位置している。そのため、カーブを曲がる際は「自分が交差点の真んなかまで飛び出してからハンドルを切る」という、乗用車とは真逆の感覚を求められるのだ。さらに、内輪差が大きいために左折時には巻き込みに注意が必要になる。一方、右左折時に車体後部が外側に膨らむ、リヤオーバーハングの振り出しにも気を配らなければならない。周囲の障害物のほか、周囲の歩行者・自転車・車両などとの距離を、常に数cm単位で把握し続ける集中力が必要不可欠になる。
経験の浅いドライバーなら冷や汗をかくようなこの難題を、プロの運転士たちはどのように克服しているのだろうか。彼らが実践している具体的なテクニックと、その思考法は主に以下の3つとされる。
①目線の先は常に遥か彼方、死角は予測で埋める
バスの運転士の目線は乗用車よりも高く、一見すると見晴らしがよさそうだ。しかし、車体の直前や直左には大きな死角が存在する。これをカバーするため、「10秒以上先の交通環境を予測する」という目線の使い方をしているのだ。近くだけを見ていては、死角に入り込んだ二輪車や歩行者に気づけない。遥か前方や交差点の遥か手前から周囲の動きを確認し、「あの自転車は次を左折しそうだ」「あの歩行者はスマホに夢中だから飛び出してくるかもしれない」と、死角に何が入るかを事前に予測して運転しているのである。
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