速さだけでなくメカニカルな知識も求められる
一方、7号車「MATEX-AQTECGRヤリスラリー2」でJN-1クラスに挑む若手ドライバーの大竹直生選手も、過去にハードな応急処置を行った経験をもっているようで、「2021年のラリー・カムイにトヨタ86で参戦していたんですけど、日曜日の午前中の最後のSSでミッショントラブルが発生。昼の20分間のサービスでミッション交換をすることになったので、サービスに入る前に自分でバラせるところはバラしたり、ボルトを緩めたりしていました」と語る。
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この対応が功を奏し、「なんとかギリギリでミッション交換ができて、ペナルティを受けることなく、午後のループに向かうことができました。もちろん、ボルトが仮締めの状態だったので、ロードセクションで自分で増し締めしたんですけど、この結果、優勝することができました。あのときが一番、シビレましたね」と大竹選手は懐古する。
ちなみに大竹選手は、「メカニックがミッション交換をやっているのを見ていたので手順は知っていましたし、もしものときに備えて、シミュレーションもしていました。GRヤリスRally2に関しては、今年から乗り始めたばかりで、まだメカニカルな知識が少ないので、自分で応急処置ができるように勉強しておきたいと思います」とのことで、やはり、ラリー競技ではメカニカルな知識が求められているのである。
そして、15号車「Gセキネン・DL・カヤバWM GRヤリス」でJN-3クラスに参戦した関根正人選手も過去にさまざまな応急処置を行ってきたドライバーのひとり。なかでも印象的なエピソードが2018年のラリー北海道で、リヤのゴムブッシュがちぎれ、アームが外れたときのことだろう。
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「当時、スズキ・スイフトに乗っていたんですけど、レグ2の音更のフィニッシュ近くで、リヤからバギッと音がして。フィニッシュ後にジャッキでタイヤを上げてみたら、ホーシングの前側のブッシュがちぎれていて、アームが折れていました」と語るように、思わぬハプニングが発生していた。
それでも関根選手は応急処置を実施しており、「スペアタイヤを固定していたラッシングベルトで縛って、タイヤが外れないように釣っている状態にしました。ラッシングが2回切れたけれど、なんとか辿り着いてサービスへ戻ることができた。そのときに獲得したポイントが活きて、チャンピオンになることができました」とのことだ。
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そのほか「レッキ中なんですけど、本番車でSSを走っているときにブレーキのパイプが切れたことがあって、クルマに積んであるボルトで捩じ込んで対処したこともありました。お金がないので、自分でDIYをやってきたんですけど、その経験が生きていると思います」とのことで、関根選手も経験を積み重ねてきたことで、メカニカルな知識が豊富となっている。
このように公道を舞台とするラリー競技ではドライバーであってもメカニカルな知識と技術が必要で、競技中のロードセクションでは度々、ドライバーがマシンの修復を行っているのである。
なお、ARKラリー・カムイでは2号車「Castrol TEIN DLファビア」を駆る鎌田卓麻選手がJN-1クラスで今季初優勝を獲得。11号車「AISIN GR Yaris DAT」の大倉聡選手がJN-3クラス、27号車「埼玉スバルDLカヤバ・シャフトスイフトS」の上原淳選手がJN-4クラスで勝利を飾っており、38号車「DL☆Gセキネン鹿ソニックラブカヤリス」の松倉拓郎選手がJN-5クラス、45号車「TCS YARIS HEV」の清水和夫選手がJN-Xで、それぞれクラス優勝を獲得している。