スポーティモデルは走り好き以外にもオススメ
マイナーチェンジでパワーも安定感も大満足
マイナーチェンジを繰り返し、初期型にあった質感の粗さを削ぎ落としてきたカローラクロス。その仕上がりはタウンスピードにおけるしなやかさに特化しており、結果としてワインディングではやや物足りない方向性になった。
トヨタ・カローラクロスGR SPORTの走行シーン画像はこちら
そこで登場してきたのがGR SPORTだ。足まわりは車高を10mmダウン。ベースに対してフロントは12%、リヤは16%バネレートをアップした。また、リバウンドスプリング付きショックを装着してロアアームブッシュを高硬度化。リヤバンパーリインフォースも追加。それだけで飽き足らず、2リッターハイブリッドと6速シーケンシャルシフトマチックまでオゴっている。
箱根の急勾配でも動力性能に不満はなく、トルクフルでグイグイと登っていくし、パドルを弾けばシフトダウンもなかなかダイレクト。コーナーでは無駄な動きがなく狙ったラインをトレース。足まわりは無駄な動きが減り、挙動はどこまでも安定しているが乗り味はハード過ぎない。低重心化がワインディングでの安心感にかなり繋がっている。また、パワステをチューニングし直しており、切り始めから切り込み応答まで、骨太な反力を得られるところも嬉しいところだ。
トヨタ・カローラクロスGR SPORTのエンジン画像はこちら
こうなるとコーナーではペースが上がり身体が振られそうなものだが、程よくサポート性が引き上げられたセミバケットシートによって身体がブレないところも絶妙な仕上がり。GR SPORTの方程式通りに仕立てられたことがうかがえる仕上がりだ。
シャシー性能は向上したがパワトレも改良してほしかった
マイナーチェンジで追加されたRSは、4WDが設定されたことがポイントだと感じる。もともと存在していた標準の4WDモデルでは、シャシーの動きの大きさが気になっていた。そこがどう変化しているのかが見どころだ。
サスペンションではベースに対して15mmダウンのスプリングを採用。ただしバネレートはアップせず、バンプラバーを短くしてストロークを確保している。ショックアブソーバーも特性を見直し、やや引き締められた。タイヤは標準車の場合、FFかブリヂストン・アレンザ、4WDがミシュラン・プライマシー4だったが、RSでは全車プライマシー4に変更。これらに合わせてパワステ特性も見直している。
ホンダ・ヴェゼルRSの走行シーン画像はこちら
乗ってみれば手応えが豊かになったステアリングと、落ち着きある振る舞いを感じる足まわりが心地いい。乗り味はフラットで、しなやかな身のこなしも感じられ、かなり大人な仕上がりのように思える。荒れた路面にも上手く追従し、コーナリングでも見事に入力を吸収。対角に動き過ぎる印象がなくなったところが好感触だ。
短くなったバンプラバーはやや硬質になっているのだが、普通の走りではそうそうタッチすることもないから許せる範囲内だろう。シートのホールド性や滑りにくさも高まり、ワインディングでもドライビングに没頭できた。
ホンダ・ヴェゼルRSのシート画像はこちら
残念だったのは動力性能にメスが入れられなかったことだ。箱根の登り区間ではバッテリー残量が底をつくと一気に遅くなる。発電量の向上を期待したい。
変更箇所が多いものの要改善ポイントもあり
ヤリスクロスのGR SPORTは変更箇所が多岐に渡る。10mmダウンのサスに始まり、タイヤをスポーツタイヤのファルケンFK510 SUVに変更。これに合わせてブッシュ、ボディ補強も実施。また、モーターの過渡特性を最適化してアクセルレスポンスも向上。ドライブシャフトのねじり剛性もアップさせ、ダイレクトさを追求したという。
走ればピッチやロールが基準車に対して見事に収められた感覚があり、ブレーキやアクセルで動き過ぎないサジ加減が絶妙だ。コーナーリング時のボディとの一体感もかなり高まっているが、一方で乗り心地は突き上げも少なく、家族からも不満が出なさそうなところはさすがだ。
トヨタ・ヤリスクロスGR SPORTの走行シーン画像はこちら
パワーモードに入れて走ってみたが、ブレーキを踏んだときのスロットルレスポンス遅れがやはり気になる。トルクが立ち上がってからの俊敏さはあるものの、少し惜しいという感覚が否めない。
振動も大きく、それがフロアやステアリングに伝わってきてしまうのはスポーツモデルだから仕方ないのかもしれない。
精悍な見た目と上質な乗り味で万人にオススメできる仕上がり
今回はおもに走りの面にスポットを当ててリポートしたが、写真を見ればわかるように、各社がベースモデルとは一味違うエアロパーツやタイヤ&ホイールを装着し、ローダウンも施されてプレミアム性が向上している。またインテリアも作り込まれ、見た目で楽しめるところもスポーティモデルの魅力だ。
橋本洋平さんと日産エクストレイルニスモ、エクストレイルオーテック、トヨタ・カローラクロスGR SPORT、ヤリスクロスGR SPORT、ホンダヴェゼルRS画像はこちら
その上で、各車がベースモデルとは確実に違う走りの質感を持っていた。クルマを購入する際に乗り比べをするのはなかなか難しいだろうが、オンロード重視で使うのであれば間違いなくスポーティモデルがオススメだと断言したい。
スポーティモデルというと目を三角にして走る人向けで万人には関係ないと思う人もいるかもしれないが、それは間違いだ。スポーティモデルでも快適性を損なうようなものはなく、一般ユースで不満の出ない乗り心地は、どれも担保した上で販売されている。むしろ上質さ際立つものが多いから、ぜひショッピングリストに入れてみてはいかがだろうか?
※本記事は雑誌「CARトップ2026年2月号」の記事を再構成して掲載しています