伝説のマクラーレンF1以来30年ぶりの6速MT復活。新型V8スーパーカー「McL 6GT」の衝撃

この記事をまとめると

■マクラーレン・オートモーティブがコンセプトカー「McL 6GT」を公開した

■McL 6GTは創業者が唯一生み出した「M6 GT」「M6A」をオマージュしたモデル

■ミッドに搭載したV8には6速MTが組み合わせられる

初公開された最新スーパーカーに約30年ぶりのMT

 マクラーレン・オートモーティブは、2026年のモントレー・カー・ウィークで非常に興味深い一台のコンセプトカーを世界初公開した。「McL 6GT」とネーミングされたモデルがそれで、これはマクラーレンの創業者であるブルース・マクラーレンが、生前に生み出した唯一のロードカー、「M6 GT」、あるいはそのベースとなったCan-Amレーサーの「M6A」からインスピレーションを得た、しかしながら最新のエアロダイナミクス技術を駆使してデザインされたスタイルを特徴とする軽量カーボンボディをもつスーパーカーだ。

 生産は2028年には限定でスタートするとされているが、それによってマクラーレンは、これまでの「スーパーカー」、「GTS」、「アルティメット」のいずれとも異なる新たなシリーズを構築することになる。

 現在の段階でこのMcL 6GTに関して発表されている内容は限られている。車体構造が軽量で高剛性なカーボンファイバー製モノコックに、やはり同素材のボディを組み合わせたものであるのは疑う余地のないところ。マクラーレンがこれまで新型車開発の哲学としてストイックなまでに貫いてきた、軽量化への取り組み、そして確かな機能をもつデザインを可能な限り小さなパッケージで包み込むという哲学は、もちろんこのMcL 6GTにおいても変わることはない。

 今回発表されたオフィシャル画像のなかにはキャビンのディテールを捉えたものも数点あったが、その端整なデザインとマン・マシンの究極的な一体感を予感させるフィニッシュはやはりマクラーレンの世界だ。

 キャビンを二分するセンターコンソール上にレイアウトされるシフトレバー、そしてドライバーの足もとにある、アクセルペダルのみがゴールドにペイントされたABCペダル。これらが物語るように、このMcL 6GTは6速のマニュアルトランスミッションを採用した、きわめて趣味性の強いスーパーカーだ。

 ちなみにマクラーレンがマニュアルトランスミッションを採用したのは、あの「F1」ロードカー以来。この間には30年ほどの時間が流れている。現在スーパーカーの世界ではデュアルクラッチ・トランスミッションが主流であり、マクラーレンもまたSSGと呼ばれるそれを各モデルに搭載しているが、同社によれば今回MTを選択した理由は、やはりマン・マシンの一体感を強く意識した結果であったのだという。電動式ではなく油圧式のパワーステアリングを搭載しているのも、同様の理由であることは容易に想像できる。

 ミッドに搭載されるエンジンは、V型8気筒という発表があったのみで、そのスペック、あるいは自然吸気なのか過給器付きなのか、またはハイブリッドのシステムをもつのかどうかなどの説明は一切なかった。最終的な仕様の決定は、これから2028年に予定されている正式発表に向けて行われていくということなのだろう。

 価格も当然のことながら未発表だが、生産は限定で行われる計画だけに、それは現在のスーパーカーとアルティメットの両シリーズの中間に入ると考えるのが妥当なのだろうか。

 エンジンベイにはブルース・マクラーレンのオートグラフがあしらわれ、またフューエルキャップにはスピーディー・キウイのロゴがエッチングされるなど、創業者への細やかな気遣いと尊敬の念をも忘れないマクラーレン。

 経営が新体制となり、世界中がその変化を注目するなかで、これから彼らはどのような戦略を我々に示してくれるのだろうか。この最新のコンセプトカーは、まさにその第一章といえるのだろう。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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