安全運転、危険回避にも活かせる空間認識能力
“空間認識能力”をご存知だろうか? 最近、この能力が高い人は「仕事ができる」的な切り口でよく見かけるが、なんとなくイメージはできても、じつのところはよくわからない言葉かもしれない。
興味が湧いて調べてみると、「三次元空間における物体の位置・形状・大きさ・方向・速さなどを素早く正確に把握・認識する能力」といった、少々小難しい説明に行き着いた。しかし、これがクルマの運転に大いに意味を持つらしいのである。とりわけ安全運転や事故回避に重要な能力であり、自動車メーカーがこれをサポートする設計や技術開発も行っているのだとか。
であれば、空間認識能力への理解を深めれば、運転に活かせるのではないだろうか……ということで、能力を高める方法を探ってみたいと思う。
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まず、改めて空間認識能力のなんたるかを、冒頭の説明を噛み砕いて考えてみたい。
“三次元空間”ということは、我々が日々すごしているこの世界だ。そのなかにあって”物体”の位置や形状、大きさ、方向、速さなどを「把握・認識する」のは自分。どうやら、要は「自分を基準にして、向かってくるものや、向かっていく対象となるもののサイズや速度などを見分ける能力」ということらしい。わかったような、わからないような。
ドライバーに求められる視野の広さと予測・判断
空間認識能力は、しばしばスポーツ選手に必要な資質としても取り上げられる。ならば、スポーツを例に具体的な場面を思い浮かべればわかりやすいかもしれない。
たとえば野球。投球の速さや軌道を見てバットで打つ、打球の行方を追って捕球する、野手の動きに合わせて送球するなど、動いているボールや相手に自分の動きを合わせるには、この空間認識能力が必要になりそうだ。バスケットボールで、最近話題になっているノールックパスも同様。敵味方入り乱れるコートで、絶えず動く味方選手の位置を把握し、移動の速度や方向を正確に認識して、ボールを受け取れそうなところへ正確に投げるのだから、ここでも空間認識能力の高さが要求されるだろう。
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つまり、こうしたプレーを成功させるには、たんに動体視力が優れているだけでは不十分。フィールド全体の状況を瞬時に確認できる視野の広さや、それがどう変化するか素早く予測する先読み、それに反応して自分がどう動くべきかの判断も必要となる。
それらすべてをひっくるめて空間認識能力だと解釈すれば、クルマの運転にかかわってくるという話にも納得できるはずだ。
周囲のクルマの速度や動きを見て、車間距離や、合流/車線変更のタイミングなどを決めるのはもちろん、車線を大きくはみ出さずに路駐車両や並走する自転車の横を通過したり、横断しようとする歩行者を見つけて手前で停止したり、障害物や飛来物を安全に回避したり。現状把握と状況予測、判断と行動を迅速に行うことが、ドライバーにはつねに求められている。
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運転の基本である車両感覚もまた、やはり空間認識能力だ。運転席の自分からクルマの四隅の位置や形状を把握して他車や車線、駐車枠などとの距離を推測するのだから。
車庫入れもスレ違いも肝心要の空間認識能力
クルマの運転における空間認識能力とは、まず自車のサイズや形状を把握して、道幅や駐車枠へ無事に収めることがベースだ。さらに、ほかのクルマや人間、障害物などとの相対的な距離や速度を素早く見極め、相手が動いていれば、その先の動きも予測して、ぶつかったり妨害したりしないように運転することも求められる。そう、事故なく安全に走るための基本を、根本的に左右する能力なのだ。
では、空間認識能力が低いと、どんな問題が起こりうるだろうか。想定されるケースを頻繁に遭遇しそうな順に上げてみよう。
まず、駐車時に曲がる/はみだす/ぶつける。慌てていてミスするならまだしも、いつも枠にキチンと収まらないようなら、空間認識能力の低さが疑われる。
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次にスレ違いが苦手。道幅も関係するだろうが、十分に路肩へクルマを寄せられないのが原因なら、これはドライバーの認識能力の問題だ。
車線変更や合流もそうだ。タイミングがつかめないだけではない。バックミラーや目視で距離を確認したはずの後方からくるクルマが、前を向いてステアリングを切ったらすぐ後ろまで迫っていたりするのは相対速度の認識、つまり相手が接近するペースの予測ができていないからだ。
そして同じような理由で起きるのが、交差点の”右直”事故だ。対向車線の直進車の接近速度を正確に把握できいまま右折しての衝突。路地や駐車場からの進入も同様で、トラブルはもっぱら強引な割り込みが引き起こす。もっとも、直進車優先の基本を守り、キチンと通過を待てば、なにも心配はないのだが……。