エクスペリエンスで得る公道走行にも通じる成果
ドライブエクスペリエンスイベントに参加することで、具体的にどんな成果を得られるのか? まず挙げられるのが、車両性能に対する「認知と理解」だ。クルマの限界がどこにあって、超えるとどうなるのかを身をもって体験することで、ドライバーは性能に対する知見を深めることができる。
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次に「安全運転意識の向上」がある。危険を知ることで、日常の運転においても余裕と注意深さが生まれる。社会全体で交通モラルが強く問われる時代だ。たとえハイパフォーマンスカーに乗っていても、常識的かつジェントルな振る舞いができるかどうかで、ドライバーその人の人間性が問われる。
3つめが、「サーキット走行へのハードルを下げる」ことだ。自分ひとりでサーキットを走るのは、初心者には心理的にも技術的にもハードルが高い。しかし、エクスペリエンスで基礎を身につけておけば、躊躇せず一歩を踏み出せるだろう。実際、多くの参加者がその後、自主的に走行会やタイムアタックに参加している。
自分の欠点をさらけ出しヒントを得て改善する場
もっとも、参加者のなかには誤った思い込みや、不適切な運転操作でパフォーマンスを十分に発揮できていない例が多く見受けられる。
もっとも顕著なのは、ドライビングポジションの誤解だ。背もたれを寝かせすぎて腕が伸びきってしまっていたり、ペダルを踏み込むと足が届かないような状態で運転しているケースが少なくない。これでは緊急時にとっさに反応できないし、正しい操作も行えない。
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ステアリングの握り方やまわし方も我流が目立つ。腕を交差させたり、片手まわしでは正確な操作が難しいばかりか、車両挙動に対する対処も遅くなる。ほんの少しのヒントを得ることで改善し、劇的に操作の正確性が高まることを体験して多くの参加者が目を輝かせて帰っていく。
加えて、ブレーキングでの踏力不足も多くの参加者に見られる欠点だ。思い切ってペダルを踏み込めないためABSが作動しない、制動距離が延びてしまうといったミスは、トレーニングを通して克服できる。また、ブレーキがフェード(過熱)した際の対処法や、システムの作動条件を知らないままサーキットを走っている参加者もいる。こうした知識と体験のギャップを埋めるのがエクスペリエンスの本質なのだ。
講師 中谷明彦
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武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部機械工学科卒。15歳でレーシングカートを始め、大学在学中にフォーミュラカーデビュー。卒業後、CARトップ編集部に籍を置いたのちプロレーサーに転向。全日本F3000/ツーリングカー選手権などの優勝経験を持つ。理論派モータージャーナリストの第一人者であり、ドライビングアカデミー”中谷塾”を主宰。
※本記事は雑誌「CARトップ2025年8月号」の記事を再構成して掲載しています