タイプRより「ツウ好み」!?  ホンダが誇る“公道ベスト”「タイプS」の名車紹介【後編】 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ホンダのタイプSはワインディングでの走りや日常の快適性を重視したグレード

■インテグラやアコードはタイプRやユーロRと差別化を狙った仕様を展開

■S2000タイプSはワインディング重視の専用仕様でモデル末期を飾った

「タイプR」とはなにが違った?

 1992年11月に初代「NSX」からその歴史が始まった、サーキットベストのホットバージョン「タイプR」に対し、1996年11月にデビューした5代目「プレリュード」に最上級グレードとして初めて設定された、ワインディングベストのスポーティグレード「タイプS」。

 現在は2021年5月に追加された「TLXタイプS」を皮切りとして、北米の高級ブランド「アキュラ」で展開されているが、当記事ではそれよりも前に日本で展開された「タイプS」6車種を紹介したい。すでに前編でそのうち3車種を振り返ってきたが、後編では残る3車種を紹介する。

【4代目インテグラタイプS(2004年9月)】

 シビックとプラットフォームを共有するミッドサイズクーペ(世代によってはセダンなども設定)「インテグラ」の4代目に設定された「タイプS」は、従来の標準グレード「iS」を置き換える形で、2004年9月のマイナーチェンジとともに登場した。

 デビュー当初の4代目インテグラは標準グレードの「iS」とハードコアな「タイプR」の2グレード構成で、実際の走りは「iS」でも十分にスポーティだったものの、195/65R15タイヤを装着し(「タイプR」は215/45ZR17)、ブレーキも赤のブレンボ製対向ピストンキャリパーを装着する「タイプR」と比べると小ぶりで、大型リヤウイングに代表される派手なエアロパーツも備わらないなど、少なからず地味な存在だったのも事実。とりわけ目に見える部分で「タイプR」との差が大きかった。

 2004年9月のマイナーチェンジでは、「タイプR」を含む全車の前後ライトが従来の涙目型から直線基調のスポーティなデザインに改められ、これに合わせて前後バンパーのデザインも変更されている。

「タイプS」はさらに、「タイプR」とは異なる専用形状のサイドスカートを装着のうえ、リップタイプのリヤスポイラーを標準装備。タイヤサイズを「タイプR」と同等の215/45R17 87Wとし、ブレーキはフロントがブレンボ製対向ピストンキャリパーではないもののローターを2インチ拡大した16インチとするなど、外観上のスポーティさは従来の「iS」より格段にアップした。

 しかし、それだけには留まらない。サスペンションはジオメトリーから変更されて重心高が7mmダウンしたほか、キャスタートレール量のアップや左右対称巻きフロントスプリングの採用などにより直進安定性も改善。各部ブッシュ類の硬度ダウン、リヤサスペンションのバンプストローク拡大も行われた。

 さらに、サスペンション取付部やステアリングコラムの剛性アップ、ステアリングレシオのクイック化、ステアリングギヤボックスの低フリクション化、ブレーキペダルの剛性アップおよびペダルレシオ変更、5速MTのシフトフィール改善、軽量吸音材の配置変更など、実際の走りに直結するチューニングも細部にわたり変更されている。

「レーシングスポーツ」を標榜する「タイプR」とは異なる「タイプS」ならではの「エブリデイスポーツ」、日常のあらゆるシーンで爽快な走りを快適に楽しめる、上質かつしなやかなスポーティさを備えていた。

 だが、「タイプS」に搭載されるK20A型2.0リッター直4エンジンのスペックは、160馬力/6500rpmと19.5kg-m/4000rpmで従来の「iS」と変わりはなく、220馬力/8000rpmと21.0kg-m/7000rpmを叩き出す「タイプR」用のK20Aとは大きな差が開いたまま。MTもシフトフィールが改善されたものの、肝心の段数は「タイプR」の6速に対し「iS」と同じ5速のまま(注:「タイプS」「iS」とも5速ATの設定あり)と、MTを操る喜びを気軽に楽しみたいユーザーにとっては画竜点睛を欠く内容だった。

 また、この世代の「タイプR」は、街なかでの乗り心地も決して我慢できないレベルのものではなく、比較的しなやかな方向で仕上げられていただけに、「タイプS」の存在意義も価格(タイプR:273万円、タイプS:199万5000円[5速MT]/210万円[5速AT])以外の点では見出しにくかった。


この記事の画像ギャラリー

遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
-

新着情報