この記事をまとめると
■フィアットがパリモーターショーで「ムルティプレイ」を公開した
■ムルティプレイはミニバンからピックアップへ変形する斬新なコンセプトカーだ
■元ネタとなったのは1990年代の「ムルティプラ」でありそのコンセプトを継承する
ムルティプラはムルティプレイへと華麗に変身
フィアットが2026年10月13日に開幕したパリモーターショーで、コンセプトカーの「ムルティプレイ」を世界初公開した。その最大の特徴は、1台でファミリーカーとピックアップトラックの2役をこなす”マルチ”な要素を兼ね備えていることで、全長4.45mという比較的コンパクトなボディには、家族での移動から荷物の運搬、そしてアウトドアまで、さまざまな用途に対応するアイディアが詰め込まれている。
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ムルティプレイの核となるのは、フィアットが「メタモルフォシ」と名づけたCピラー周辺の可変構造だ。ボディ後部をスライドさせることで、ミニバンのような姿から、荷台が開放されたピックアップへと変形する。
ミニバン状態では、基本となる3列6人分のシートを用意。このシートはテーブルやペット用ベッドにも変形させて活用することができる優れモノで、最後部のシートを倒すことでフラットな荷台と4人のシートを備えたピックアップトラックへとトランスフォームする。このときリヤスポイラーも回転させることで、それは自転車ラックとしても使えるようになるという独特な機能を備える。
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このクルマのトピックは、単にシートを倒して荷室を広げるのではなく、クルマの構造そのものを変えて用途を切り替えるユニークな発想だ。たとえば、平日はミニバンとして子どもの送り迎えや買い物に使い、週末は自転車を積んでアウトドアへ出かけるといった複数の役割を担うことで、用途ごとに別のクルマを所有する必要性をなくす狙いがある。
そのほか、車内の工夫も見逃せない。”ペッセンジャーシート(Petssenger Seat)”と名付けられた同車のシートは、ペット用スペース、テーブル、収納スペースなどに活用できる多機能ユニットとなっており、クッションの一部を取り外せばペット用リードとしても使えるほか、ドアには折りたたみ式の水飲みボウルを収納するなど、ペットとの移動を意識したアイディアも盛り込まれている。
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さらに助手席は、シートバックを倒してダッシュボードを背もたれのように利用する「サンシート」へと変形させることもできる。乗員は、大型のガラスエリアと広いサイドウインドウによる圧倒的な開放感のなかで、リラックスした時間を過ごすことができるだろう。
インテリアの配色も特徴的だ。室内は赤やピンクを配した明るくポップな雰囲気。コンセプトカーはグリーンのボディカラーを採用していたこともあり、そのイメージはまるでスイカのようだ。ダッシュボードには、使わないときには視界から消えるディスプレイを採用し、デジタル技術を取り入れながらも、空間をすっきり見せることを意識している。
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なお、公表されている基本スペックは4.45mという全長のみ。パワートレインや出力などの詳細は明らかになっていない。
さて、お気づきの方も多いと思うが、このムルティプレイは、1998年にフィアットが販売を開始した2代目ムルティプラをオマージュしたものだ。とりわけ前期型の、良くも悪くもそのあまりに個性的なスタイリングは、見たものを虜にする強いクセがあった。
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「ムルティプラ(Multipla)」とは、イタリア語で「さまざまな、多様な」といった意味をもつ。一方、今回の「ムルティプレイ(Multiplay)」は、「ムルティプラ(Multipla)」に「プレイ(Play)」、つまり「遊び」をかけあわせていることが容易に想像できる。つまり、「家族やペットとの時間、趣味、アウトドアまで、クルマを使う楽しみを広げよう」といった意図と遊び心を込めての命名であることが感じられる。
ムルティプラからムルティプレイへ。名前の変化は時代の変化。日常や趣味をもっと自由にする存在として、ムルティプラのコンセプトはムルティプレイに継承されるとともに進化した。果たしてフィアットは、このムルティプレイのコンセプトを反映したクルマを市販化するのだろうか、大いに期待したい。