この記事をまとめると ■ロードインデックスはタイヤが支えられる最大荷重を示す重要な指標だ
■荷重移動や空気圧変化を考慮し余裕ある数値が選ばれている
■規格差やタイヤ交換時の注意点も安全性に直結する
グリップ以前に重要な耐荷重 タイヤに関する話題というと、溝の深さやグリップ力が語られることが多い。しかし、タイヤの基本の「き」ともいえるのが、ロードインデックス、すなわち最大荷重を示す数字だ。タイヤ側面の寸法のあとに、2~3桁の数字で示されている。
タイヤは、クルマの車重を支えている。何トンかの車重を支えられるからこそ、クルマは走ることができる。もし重さに耐えられなければ、空気を入れていても潰れてしまうし、場合によってはゴムや内部構造が割けてしまうかもしれない。それでは走れない。また、走行中にそのような事態に陥ったら、事故になりかねない。
タイヤでまず気にしなければならないのは、どれくらいの重さに耐えられるかというタイヤインデックスの表示である。そのまま重量を表しているわけではないのでややこしく、数字の意味する耐荷重は、表で示されている。
ロードインデックスの一覧 画像はこちら
たとえばもっとも小さな「68」の場合、支えられる重さは265kgである。これはタイヤ1本での性能だ。したがって、4輪では265×4=1060kgの車両重量を支えられる。1トンちょっとのクルマ向けといえるが、実際には余裕をもったロードインデックスのタイヤが装着されているはずだ。
直進だけでなくカーブを曲がる際には荷重移動が起きて、タイヤ1本に掛かる重量が増える。あるいは、まっすぐ走っていても、加速や減速で荷重移動は起き、車体が沈み込んだ側のタイヤに追加の荷重がかかる。実際に装着されているタイヤのロードインデックスは、そうした走行のあらゆる状況で何トンもの車体を支えられるように選ばれている。
また、この支える荷重は、空気圧によっても変化する。たとえば、さきほどのロードインデックス「68」の場合、空気圧が180kPaでは265kgだが、200kPaでは285kgを支えられる。このことは、タイヤの空気圧は各車ごとに指定されている数値にあわせることが重要だということに繋がる。
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ところが、タイヤの空気圧は徐々に減っていくのが現実だ。ガソリン給油などの際にスタンドで空気圧を点検し、不足しているようであれば補充するよう注意喚起される背景には、耐荷重性の確保の意味もある。ことにEVは給油の機会がなく、スタンドに立ち寄ることはまずないだろう。少なくとも定期点検などの際に空気圧を確認するようにするといい。
サマータイヤとスタッドレスタイヤを季節で使いわけることも、定的な空気圧点検のひとつの機会になる。一方のオールシーズンタイヤは雪でも利用できると流行りだしているが、逆にいえば空気圧点検の機会を減らすタイヤ選択ともいえる。
オールシーズンタイヤのイメージ 画像はこちら
ロードインデックスはまた、国内と海外で表記が異なるという。日本では、日本自動車タイヤ協会(JATMA)が定めた規格にそって新車装着されるのが基本だ。もうひとつ、欧州のタイヤ規格でETRTO(European Tyer and Rim Technical Organization)というものがある。欧州は日米に比べてクルマの走行速度域が高く、また超高性能車なども多いので地域の実情に合わせたロードインデックスといえる。日本車でも、高性能車にはETRTO規格のロードインデックスを採用する場合がある。
独自にインチアップなどによりタイヤを交換した場合、ロードインデックスが適切でなく、車検に通らない場合がある。タイヤ販売店などで確認するといいだろう。