【試乗】高級で安全で先進的! メルセデス・ベンツ新型Sクラスはすべてを手に入れたセダンの理想郷だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■メルセデス・ベンツがSクラスをAIやMB.OSなどの最新技術で大幅アップデートした

■E-ACTIVE BODY CONTROLや最新運転支援により快適性・安全性が向上している

■内燃機関も徹底的に熟成され「セダンの王者」の実力を改めて示した

メルセデスがまたとんでもないものを出してきたぞ

 自動車業界はいま、猫も杓子もEVだ、SUVだ、SDVだって大騒ぎしている。しかし、140年前にガソリン自動車を発明した本家本元が、ここへ来てフラッグシップの「Sクラス」に多岐にわたるアップデートをかけてきた。「これはただのマイナーチェンジではないな」とスペックを見て思った。中身は事実上のフルモデルチェンジに近いものだったし、さらに高級車の定義を変えるほど進化している。たとえるなら「魚がヒレを足へと進化させて陸上へ」と同じで、ヒレの部分がAIかもしれない。

 Sクラス国際試乗会の晩餐会に足を踏み入れた瞬間、歴代の名車たちがズラリと並んでいてさ、そこにある「自動車文化の重圧」は凄まじい。でもいまのメルセデスは、その栄光に胡坐をかいてる暇なんてサラサラない。ドイツ勢はEVに全振りしすぎて、収益が激減しているなか、彼らが「エンジン車によるセダンの本流」を再定義したのか。これから詳しく分析してみよう。

伝統的な高級車がデジタル体験を提供

 ドアを開けると、目の前に広がるのはデジタル空間。だけど、流行りの「おもちゃっぽい液晶画面」とはワケが違う。この裏で動いているのがメルセデス自社開発の「MB.OS」だ。そしてOSにリンクされるのが複数のAI群だ。

 すでに実用化しているAR(拡張現実)のヘッドアップディスプレイは、ナビの矢印を出すだけじゃない。センサーが捉えた周囲の状況を、グラフィックの動きや色でドライバーの「直感」に訴えかけてくる。複雑で高機能な運転支援(ADAS)をわかりやすくし、ドライバーの過信やミスを防ぐことに努力している。

 AIと人間がどうやってストレスなく、自然言語で対話(ダイアログ)できるか、ここにメルセデスのMB.UXが存在する。これこそが、スペックシートには出てこない高級車の「本質」であり、「人はミスをする」という前提にたち、人とクルマの間にAIエージェントを介在させることで、人中心のクルマを作りの哲学を感じた。

 AIの話しを続けると、Sクラスには「フィジカルAI(物理AI)」が組み込まれている。時間軸のない生成AIはやり直しが利くが、自動運転や運転支援を制御するAIは後戻りができない。このフィジカルAIは将来の自動運転に必須のAIなのだ。

異次元のGコントロール。これは魔法か?

 肝心の走り。これがもう腰を抜かすほど進化してる。 度肝を抜かれたのが「E-ACTIVE BODY CONTROL」の熟成ぶりだ。ワインディングで「カーブ機能」モードで走ると、何が起きると思う?

 車体が外側にロールし、乗員には横Gがかかるのがいままでのサスペンションだったが、新型Sクラスでは車体がバイクのようにイン側に傾くネガティブロールの動きだ。後席でリラックスしていても、横Gの一部が下側に作用するので、身体が緩られない。

 さらにカメラが前方の路面の凸凹をミリ秒単位で先読みして、48Vのサスペンションを能動的に動かすことで、完全なフラットライドが実用化。こうした車体制御は衝突安全にも直結している。たとえば横からぶつかりそうになると一瞬で衝突側の車高を数センチリフトさせ、一番頑丈なサイドシルで衝撃を受け止める。サイドエアバッグはあくまでも補助的なのだ。このように安全のパイオニアとしての執念はここに極まれり、である。


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