「廉価グレードの象徴」は令和のいま「オシャレアイテム」へと変化していた! いま「鉄チンホイール」が絶賛されるワケ (1/2ページ)

クルマのホイールはスチールから始まった

 ホイールの素材は大きくスチールとアルミに分けられる。厳密に言うと、マグネシウムや最近ではカーボンを使用したホイールもあるが一般的ではない。

 先に登場したのはもちろんスチールで、スポークホイールをベンツの1号車(1886年)が装着していて、これはリムの部分も鉄だった。ただ、しばらくは精度や生産性の問題で木製が多かった(ベンツの2号車以降もしばらくは木製)。木製なのは自動車作りが馬車から派生したから。気になるのはその強度だが、スピードがあまり出なかったり、車体が軽量だったので問題はなかった。

 今風のスチールホイールを世界で最初に作ったのはミシュランで、1914年のこと。すでに各方面で研究が進んでいて、ボルト止めなどは発明されていた。その後、ディスクを二重にして強度を出し、デザイン性も高まっていく。

 日本でも昭和に入るころになると現在の、いわゆるスチールホイールへと移っていく。形は実用性優先で鉄板をプレスで打ち抜いたものに、センター部分に円盤形のホイールキャップが付くものが多く、現在のものとは少々趣が異なっていた。デザインというほどではないが、センター部分にメーカー名がプレスで打ち出して入っていたりして、いま見るとかなりレトロで格好よかったりする。

 その後、長きにわたってスチールの時代が続く。国産初のアルミホイールは1966年に現在のエンケイが海外向けに試作したもので、翌年には生産開始されているので意外に歴史は古い。ただ、海外向けであり、価格も高かったことから、全日本グランプリなどのレースのワークスですらスチールホイールを履いていたほどだ。

 1970年代になるとハヤシやRSワタナベなど、社外品が続々と登場したが、高価ゆえ憧れの的なアイテムで、買うにしても月賦(ローン)を組んでやっと買えるという存在だった。

 一般のクルマ好きはスチールで我慢するしかなかったし、それゆえ、純正でも個性的なホイールキャップが続々と登場した。素材はいまのような樹脂ではなくて金属製。アルミホイールに見せようなんていう中途半端なことはせず、メッキをかけたり、細かなフィンを入れたりと手の込んだものが多かった。ちなみにリムにはめてあるだけなので外れやすく、路肩に転がっているのを見かけたものだ。

 またスポーツカーで多かったのがセンター部分だけのハブキャップで、車名やGTなどのロゴ入りだった。苦肉の策だったのかもしれないが、スチールの素朴さがスポーツカーならではの硬派や武骨さにうまく転換されていた。


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近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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