※本記事は雑誌「CARトップ2023年7月号」の記事を再構成して掲載しています
ドライビングプレジャーが十分に感じられるクルマだ
駐車スペースに停まったプリウスに対面すると、思いっきり寝かされたフロントウインドウとAピラーが目に飛び込んできた。
正直、このデザインはいただけない。単に好みの問題ではなく、乗り込む際に、大きく傾斜したAピラーによって頭が当たりそうになり、乗降性を阻害する要因になっていたのだ。また、Aピラーの形状から左右の斜め前方に死角が多く、右左折時の安全確認に、かなり気を遣う必要もあった。
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それでは走り出そう。ワインディングへと向かう路面の荒れた取付道路を低速で走行すると、走りの質感が際立っていることがわかる。これは、ボディ剛性が非常に高いことによるものだ。
ワインディング本線でペースを上げて走行しても、その印象は変わらず、とくに曲げ剛性が際立って高い。聞けば1420kgという車両重量だというが、この数値でこれだけの剛性を実現できたことは高く評価できる。
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サスペンションの設計も素晴らしい。下りコーナーのターンインで減速をしても、ノーズダイブが抑えられ、安定した姿勢を示す。さほど急激な加速ができるクルマではないが、加速時のスクォートもほとんど感じられない。これは、車両の前後の動きに対して反力が発生するようなサスペンションレイアウトを実現しているためだ。
国産車のなかには姿勢変化を抑えるために、ダンパーのコンプレッション側を固めているクルマも多いが、それでは路面からの入力に対してとくにフロントがポンポンと跳ねてしまい、コンフォート性や質感が損なわれる。プリウスはソフトなダンパーによる質感と安定した姿勢が両立できていた。
パワーユニットの完成度も高い。とくにSPORTモードを選択した際の加速性能は、このクラスのハイブリッド車としては、トップクラスと言えるだろう。加えてシフトでBモードを選択すれば回生ブレーキが強まってワインディングではより走りやすくなる。システム的に難しいのであろうが、欲を言えばパドルスイッチで減速できるようなシステムがあれば、より走りを楽しめるだろう。
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若干気になったのはブレーキだ。長いワインディングを走行すると、ブレーキペダルを踏んだ際に、音とジャダーが発生するようになり、フェードが見られた。ただし、減速自体はされており、温度領域の広い、優れたパッドを採用しているのだろう。フェードが発生する前のブレーキタッチやコントロール性は素晴らしいものであったことも付け加えておく。
タイヤについても述べておこう。このプリウスには195/50R19という、ホイールサイズに対して幅の狭い、ある意味特殊なサイズのタイヤが採用されている。銘柄はヨコハマのブルーアースGTであり、エコタイヤの部類に入るのだろうが、コンストラクションがしっかりとしていて、かつ運動性能も必要十分な高さを示し、クルマとのマッチングがよかった。
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プリウスは、十分に走りが楽しめる、この企画の主旨であるドライビングプレジャーを感じさせるクルマに仕上がっていた。それがゆえに残念なのはデザインだ。デザインを追求することは否定しないが、それはドライバーが運転しやすいことが第一義にあり、そのうえに存在すべきことだろう。
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※本記事は雑誌「CARトップ2023年7月号」の記事を再構成して掲載しています