いま世界各国のメーカーが「ワイド&ロー」をデザインテーマにする理由とは (2/2ページ)

ワイド&ローで室内空間を確保するためにはボディ拡大も必須

 さきほど「全高が低くて、ボディが幅広い」ことはカッコいいクルマのプロポーションにつながると記したが、じつはもう一つのポイントがある。それは「タイヤが大きい(フェンダーとの隙間が小さい)」ことだ。自動車のデザイナーが描くコンセプトスケッチでは、『低く、広く、大きい』という三要素を満たしていることが多いのは、それらが万国共通でスタイリングの魅力として感じられるからだ。

 クロスオーバーSUVは“大きなタイヤ”という条件を満たしやすく、またフェンダーモールなどでワイド感も演出しやすい。さらにルーフを下げればSUVであってもワイド&ローを感じさせるシルエットが可能だ。2017年1月に日本でもフルモデルチェンジしたVWティグアンが『より長く、より幅広く、より低い』ニューエモーショナルデザインをアピールしていたのは、まさにSUVにもワイド&ローの考え方を採用している証だ。

 ただし、全高を低くして、キャビンを小さく見せつつパッケージとしてちゃんとしたスペースを確保するためには絶対的なサイズを確保する必要が出てくる。ワイド&ローとパッケージを両立するためには、ボディサイズの拡大がセットになってくるといえる。昨今、フルモデルチェンジのたびにボディサイズが拡大すると指摘されるわけだが、そこにはワイド&ローという普遍的な価値を求めた故、という面もありそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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