新型カローラへの賛辞と課題! 歴代を知るレーシングドライバーが「満点」へあと一歩と語る理由とは (2/2ページ)

現行モデルの後席ユーティリティは仕向け地によって差別化

 そして今回、12代目となった新型カローラは世界と足並みを揃え国内にも登場したのだ。まさに満を持しての国内再導入ということだろう。国内仕様もついに3ナンバー枠の車幅1745mmとされたが、欧米仕様の1780mmより狭めて国内での利便性に配慮している。

 基本的には現行プリウスから採用されているTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチュア)を採用し、昨年登場して若い人に人気のカローラ・スポーツと共通のパワートレインおよび装備・メカニズムを継承。今回セダンとワゴンボディを架装し「ツーリング」を新設定している。

 またホイールベースは2640mmで従来型より40mm拡大されてはいるが、欧米・中国(グローバル)仕様は2700mmのロングホイールベースが採用されていて、後席のユーティリティを高めている。

 実際に後席に乗り込んでみると、足もとの広さは必要十分ではあるが、あと60mm広ければ相当快適になるだろう。また国内仕様はエアコンの吹き出し口が前席シート下にしかないが、欧米・中国仕様にはコンソール後端に吹き出し口が設けられるなど、後席ユーティリティ関しては国内モデルと差別化している。

 車幅が小さくなるのは国内道路事情にマッチしやすいが、ホイールベース、エアコン吹き出しなど後席ユーティリティに関してはグローバルに揃えて欲しかったと正直思う。4ドアを持つ以上後席の使用頻度が高いユーザーも多く、国内モデルとして後席を軽視する傾向がいまだに残っているのは残念でならない。加えて言うならロードノイズの遮音についてもグローバルモデルより省略されていて、とくに後席にロードノイズが大きく侵入する。

 テストドライバーがこだわり、ショックアブソーバーのチューニングを丁寧に行い低速域での突き上げ、ハーシュネスの押さえ込みに成功した。このショックアブソーバーをカローラ・スポーツにも採用して乗り心地を進化させたという。

 今回のカローラがグローバル規格のままだったら、今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーで間違いなく満点を配点できるのだが。今後ロングドライブなどを通じ新たな魅力を探っていくつもりだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

新着情報