【ただの定番小型SUVじゃない?】ダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズが想定外の人気を集める影で突いた意外な盲点とは (2/2ページ)

小まわり性能に優れながら広い荷室を持つ!

 実際にショールームで静止した車両を確認すると、すでに説明したエクステリアの存在感だけでなく、インテリアの質感、カッコ良さ、装備の充実ぶりにも納得できるに違いない。

 運転席のかけ心地は文句なく、視界の高さによるSUVらしい見晴らし感はもちろん、大型ディスプレーオーディオ、切り替え可能なメーター表示などにも新しさを感じる。あえて本格的な走破性を持つSUVを選ぶユーザーなら、アウトドアなどに出掛ける機会も多いはずだが、コンパクトなクルマ=荷室が狭い……では納得できないだろう。しかしダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズの荷室はクラス最大級の369リットル、大きく掘られたデッキボード下の収納スペースを含めれば、449リットル(2WD)にもなるのだから、余裕で荷物を積み込めることになる。

 具体的には後席使用時の荷室奥行きは755mm、フロア幅1000mm、高さ740mm(2WD)もある。デッキボードを外せば高さは815mm(2WD)に達するから、観葉植物なども運びやすいのである。

 しかも、人気の上級グレードには、自動ブレーキを含む基本的なスマアシ=先進運転支援システムのほか、上級車さながらの、後方から接近する死角の車両を検知してくれるブラインドスポットモニターや、バック時の安全性を高めてくれるリヤクロストラフィックアラートまで装備されるのだから、安心・安全にこだわるユーザーにもしっかりと応えてくれるのだ。

 試乗すれば、3気筒1リッターターボとは思えない走行性能にも驚かされるはず。エンジンはアイドリング時を含め、3気筒感は皆無に等しく、回せばスムースかつ軽やかに速度を上げ、トルク感に至っては、下手な1.5リッタークラスより上なほどで、平たん路で加速後、アクセルを戻してもスルスルと走り続けてくれる豊かなトルクがあり、じつに走りやすいのだ。

 コンパクトなサイズのクルマを求めるユーザーにとってさらにうれしいのは小まわり性の良さ。最小回転半径は16インチタイヤで4.9m、上級グレードの17インチでも5mだから、Uターンはもちろん、狭い道の走行、料金所の幅寄せなどもラクラク、快適なのである。

 乗り心地は2WDの17インチタイヤ装着車だとやや硬めのタッチを示すものの、ダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズの真打ちと言えそうな4WDを選べばマイルド感が出て、16インチタイヤ装着車なら2WD、4WDを問わず、ファミリーカーとして、愛犬とドライブするクルマとしても満足できる乗り心地になるというわけだ。

 ダイハツ・ロッキーなら、ダイハツコネクトによるオペレーターサービス、車内Wi-Fiも利用でき(ライズも専用T-コネクトナビの装着でオペレーターサービスが利用可能)、つながるクルマとしての先進感、安心感、利便性もばっちり。

 実燃費は2WD車の日常使いで14km/L前後と、数値的には車重1トン前後のクルマとしては驚くほどではないものの、決して悪くはない。と、5ナンバーサイズのクロスオーバーSUVとして、あらゆる点で納得、満足できそうなのが、ダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズ。クロスオーバーブーム、SUVブーム真っ盛りの今、日本で売れない理由が見つからない……ほどの魅力がある新型車というわけだ(スマアシレスのトヨタ・ライズXを除く)。

 デザイン、装備、先進運転支援機能、走行性能、積載性、つながる安心を含め、これまであるようでなかった、ジャストサイズ、ジャストフィットのクロスオーバーSUVと言えるダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズ。約3カ月の納期を楽しみに待つ価値は、十分にあると思える。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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