なぜいま? ホンダらしさは蘇る? ホンダが四輪開発を本社統合する狙いとは (2/2ページ)

これまでのやり方では市場の変化に対応しきれなくなってきた

 では、なぜ四輪事業が本社統合されたのか? ホンダ側のニュースリリースには、従来の営業、生産、開発、購買という自立した各領域での協調運営体制から、各領域を統合一体運営体制への転換、と説明している。

 要するに、これまでのやり方では、市場の変化に対応できなくなった、ということだ。市場の変化について、一般的には独ダイムラーのマーケティング用語であるCASE(コネクティビティ、自動運転、シェアリング・新サービス、電動化)を引き合いに出す。確かに、それは事実であるのだが、それ以上に「社会におけるクルマの在り方」が変わってきているのだと筆者は感じる。

 そうした変化に対して「本社」も「研究所」それぞれが社会に対する向き合い方が甘かったと言わざると得ない。「変わらなくては……」「変わるべき……」という意識を「本社」「研究所」それぞれの社員レベルでも、役員レベルでも日常業務の中で感じてきたはずだ。だが、「変りきれない……」まま、時が流れていった。こうした慢性的な体質から「最近のホンダは元気がない」とメディアやユーザーから指摘されるようになったといえる。

 では、本当に今回の四輪事業本社統合で、ホンダは変わることができるのか? 筆者の知る限り、ホンダ関係者の多くは、これからのホンダに対する明確なヴィジョンが描けていない。

 1960年以来、60年目の大変化。ホンダはいま、正念場を迎えた。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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