バカ売れRAV4に「10倍」もの差を付けられたCR-V! ここまで明暗が分かれた理由とは (2/2ページ)

価格もRAV4が優位に立つ理由のひとつ

 堅調に売れる2つ目の理由は価格だ。ノーマルエンジンの排気量は2リッターだから、登坂路では少しパワー不足を感じることもあるが、2WD・Xの価格は265万6500円と安い。人気のアドベンチャーは、前述のとおりメカニズムを充実させて外装パーツも装着しながら319万5500円だ。安くはないが、全幅が1800mmを超えるSUVのなかでは機能の割に価格を抑えた。

 その点でCR-Vは、RAV4と逆の特徴を備える。外観はスポーティだが、都会的な印象が強く、野性味は乏しい。RAV4と違って走りのメカニズムにも特徴はない。そしてカーナビの標準装着など装備を充実させたものの、価格はもっとも安い1.5リッターターボエンジンのEXでも336万1600円だ。この価格は上級SUVのハリアーに近い。

 それなのに内装の質には不満が伴う。たとえばインパネのステッチ(縫い目)は、合成樹脂で成型された模造品だ。今では軽自動車やコンパクトSUVのヴェゼルにも、本物の糸を使ったステッチが入るから、300万円を軽く超えるCR-Vが模造品では満足度を下げてしまう。ステッチ風の模様などはやめるべきだ。

 以上のように、RAV4はSUVの原点回帰という潮流に沿ったクルマ作りを行って価格は割安だ。CR-Vは旧態依然としたシティ派SUVで、価格は割高になる。この違いは大きい。

 しかも今の国内で売られるホンダ車では、約50%を軽自動車が占める。そこにフィットとフリードを加えると75%に達する。スポーツモデルが華やかだった時代を知らない人達から見ると、ホンダは軽自動車とコンパクトカーのメーカーだ。そうなると、CR-V、オデッセイ、アコード、シビックなどはホンダのブランドイメージに合わず「残りの25%」に片付けられてしまう。その結果、RAV4とCR-Vの間には、約10倍の販売格差が生まれた。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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