足りないのは「スター性」だった! いいクルマなのに1位になれない「いぶし銀の名脇役」4選 (2/2ページ)

「売れ行きが伸び悩む良いクルマ」の典型例も

3)ホンダ・ステップワゴン(ミニバン)

 ステップワゴンは以前から低床設計を採用して、日産セレナに比べると床が70〜80mm低い。サイドステップ(小さな階段)を介さずに乗り降りできて、重心も低いから走行安定性は良好だ。ボディが左右に振られにくく、乗り心地も快適になった。

 さらに縦開き式のリヤゲートに横開きのサブドアを内蔵させ、狭い場所でも開閉できる。サブドアは縦長だから、乗員の乗り降りにも使える。

 さまざまな工夫を施したが、現行型の発売時点では、エアロ仕様のスパーダを含めて外観が地味だった。売れ行きが下がり、標準ボディは生産計画も少なかったため、e:HEV(ハイブリッド)はスパーダのみに追加している。この時にスパーダはフロントマスクも派手に改めたが、遅きに失した印象が強く、2019年1〜6月の登録台数はセレナの半分以下であった。

4)スバル・フォレスター(SUV)

 フォレスターは最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)を十分に確保しながら床を低く抑え、乗降性や居住性が優れる。水平対向エンジンの搭載と相まって低重心になり、走行安定性も良好だ。居住性から走行性能までバランス良く高め、視界や取りまわし性にも配慮した。

 しかし売れ行きは伸び悩む。視界の優れた外観は大人しい印象で、トヨタRAV4や日産エクストレイルに比べると野性味も乏しい。販売店舗数は約460箇所だから、トヨタ4系列の合計に比べると10%で、日産やホンダと比較しても20%にとどまる。

 言い換えればスバルの1店舗当たりの販売台数は多く、ユーザーの満足感も高い。フォレスターは「売れ行きが伸び悩む良いクルマ」の典型だ。スバル車を見ると、販売台数が必ずしもクルマの優劣を示していないことが良く分かる。大量に売れるクルマは、多くの人達が使っているから優れた商品と考えられるが、逆は当てはまらない場合がある。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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