ジムニーの魅力がすべてわかる! 最新の現行モデルについても紹介 (2/2ページ)

ジムニーに搭載されるMTとATのメリット・デメリット

4速ATのメリット・デメリット

 ジムニーでは軽自動車の多くに搭載されるCVT(無段階変速機)ではなく、4つのギヤを最適なタイミングで変速する4速オートマチックトランスミッション(AT)となる。一番のメリットは、変速操作を気にすることなく走りに集中できることだろう。シフトレバーも握りやすい形状を採用している。

 デメリットといえば、まず燃費だろう。5速MTと比べて3km/Lも異なってくる。また、スポーティなモデルによく見られるマニュアルモードが用意されていない。ATであってもカンタンなシフト操作で好みのギヤを選べる機能だが、ジムニーは古典的な2速固定とL(ローギヤ)固定のみ。普段は楽にドライブし、オフロードなどでアクティブに楽しみたい、という人には向かないのが難点だ。

5速MTのメリット・デメリット

 5速MTのメリットは、もちろん自在にギヤを選択して走行できること。愛車を操っていることを実感できる瞬間だ。また、燃費もATより優れているため、MT車を運転できるのであれば、趣味性を重視してMTを選んでみるのもよいだろう。また、シフトレバーの取り付け方法を従来モデルから変更。トランスミッション側を2点、フレーム側1点としたことで、走行中のシフトレバー振動も抑えられている。先代モデルで気になった点が解消しているのもプラスポイントだ。

 デメリットは少々シフトストロークが長く感じるところだろうか。サーキットでコンマ1秒を争うようなシフト操作は行わないと思うが、スポーツカーなどのMT車に乗り慣れている人は、少々違和感を感じるかもしれない。また、登場時の試乗記において、走行中にわずかながらギヤまわりから音が発生するという事象も確認されている。しかし、これは音楽を聞いていれば気にならないレベルとのことだが、神経質な人は気になってしまうかもしれないだろう。

ジムニーの納期が1年以上となっている理由

 ジムニーが登場した際に発表された年間の国内販売目標台数は1万5000台(ジムニーシエラは1200台)。しかし、それに対して20年ぶりのフルモデルチェンジであったために購入希望者からのオーダーが殺到。すぐに納車待ち1年以上という状況に陥った。

 トヨタの人気コンパクトであるアクアやプリウスは、オーダーから工場出荷まで、現在1カ月程度の時間を要している。人気グレードなどでは約2〜3カ月待ち。もちろん生産規模もジムニーとは異なるだろうが、概ね、他メーカーも平均して最大約3カ月が目安だ(新車発売直後の人気モデルを除く)。

 ジムニーの1万5000台という年間目標は1カ月平均で1250台。あまりに人気がありすぎてそれでは生産が追いつない状況が現在でも続いている。一時期は新車販売台数が3000台を越える月もあり、2020年6月は3551台(全国軽自動車協会連合会の公表値)。2020年に入ってからの数字を見てみると平均して2300台前後での販売台数となっているため、目標の倍近い生産を行っているが、今もなお約1年の長期納車待ちとなっている。元々の目標よりも多い生産を行っているため、これ以上の増産も難しい状況。これが長期納車待ちの原因だろう。

 ジムニーシエラにいたっては2020年6月の販売台数は2028台だが、1月から6月までの販売台数は7031台(日本自動車販売協会連合会の公表値)。平均販売台数は1172台で、当初の目標通りとなっている。

比較検討されるダイハツ・タフトやハスラーとの違い

タフトの特徴とジムニーとの違い

 1カ月の受注台数が月販目標の4.5倍となる1万8000台となり、大注目されているダイハツ・タフト。オフロードテイストあふれるスタイリングの軽自動車はダイハツにラインアップがないため、ファン待望のモデルとなっている。大型のガラスルーフ「スカイフィールトップ」を全車に標準装備するなど、軽自動車らしからぬ装備も与えて注目を集めている。

 ルックスは大型SUVにも通じるデザインで、軽自動車ながら迫力あるスタイリングとなっている。パワートレインはジムニー同様の直3ターボに加え、NAもラインアップ。トランスミッションはCVTのみとなる。4WDもラインアップされているが、ジムニーほど本格的なシステムではない。タフトの購入希望者は比較検討にジムニーを挙げることが多いそうだが、本格的な走行性能を求めるならジムニーを選ぶべきだろう。

ハスラーの特徴とジムニーとの違い

 丸形ヘッドライトなどの特徴的なディテールとSUV風なアレンジで人気のスズキ・ハスラー。現在は2代目となり、高い注目を集めている。ハスラーも直3ターボとNAを用意し、4WDの設定もある。

 ジムニーとの違いは、まずハスラーが全車ハイブリッドとなっていること。モーターのみの走行ができるわけではないが、発進加速時などのモーターアシストによって気持ちよい加速と低燃費性能を実現する。

 ターボエンジンはジムニーと共通だが、ジムニー用は専用チューニングが施されている。4WDシステムは通常は2WD(FF)となり、滑りやすい路面などでは前後輪に最適なトルク配分を行う。また、アイスバーンや雪道といった滑りやすい路面でタイヤの空転を抑えるスノーモード、片輪の空転が発生した際にブレーキ制御し、空転していない車輪に駆動力を集中させるグリップコントロール、下り坂でも車速を7km/hに制御し、悪路で安心して下れるヒルディセントコントロールを採用。ジムニーは副変速機を用いた4輪駆動制御となる。大まかには似ているが、より手軽なのがハスラー、本格的なのがジムニーとなる。

ジムニーの中古車相場

 スズキの公式中古車検索サイトでは、新車でも納車待ちとなっているだけあり、在庫はゼロ。大手中古車検索サイトを見てみると、平均価格はなんと241万円となっている。ただし、これはカスタマイズが施されたモデルも含まれており、純粋なノーマルモデルのみでの平均価格ではない。フルノーマル車両であっても、XCグレードのAT(走行300km)というほぼ新車状態で270万円と、約100万円アップのプレミア価格を付けた個体も販売されている。

 もっとも多いのは500km未満のほぼ新車。7月30日時点で152台が販売されており、ボリュームゾーンは230万円台が47台となっている。500kmから5000km台は63台、ボリュームゾーンは220万円から240万円台に集中している。5000kmから1万kmでは43台が販売中。こちらは220万円〜250万円台の在庫が豊富だ。1万kmオーバーは36台で、もっとも多い1万〜2万kmのラインアップでは、220万円〜240万円がボリュームゾーン。なお、新車価格の180万円台は294台中1台のみで、長期納車待ちもあり、中古車市場ではプレミア価格で取引されているのが現状だ。

 ちなみに、1987年以降となるが2代目の中古車平均価格は67万5000円(新車時価格99万4000円〜149万9000円)、3代目は75万3000円(新車時価格115万円〜169万1000円)となっている。

まだまだ入手困難だが待ってでも手に入れる価値はアリ!

 軽自動車ながら本格SUVなみの性能が与えられ、唯一無二の存在となっているジムニー。軽自動車だけあって、維持費の安さなども魅力のひとつ。手軽にオフロード走行を楽しみたい人にはピッタリの1台だ。長期納車待ちや中古車のプレミア価格など、これから手に入れる人にとってはハードルが高くなっているが、それだけ価値のあるクルマであることは間違いないモデルだ。


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