キックスは4WD車なし! アコードは1グレードのみ! 割り切りすぎた「グレード構成」が残念なクルマたち (2/2ページ)

なぜあえて外した? グレード設定が少ないOEM車も

 世界的な電動化の波は、輸入車のグレード展開にも大きく影響している。ここで言う電動化とは、EVのみならず、HV、PHEVを含むのだが、全モデルを電動化させた世界で最初のプレミアムブランドになったボルボの日本仕様、たとえばXC60は、これまで中心的なパワーユニットだったガソリンターボを廃止。クリーンディーゼルとPHEV、そして最新の48Vマイルドハイブリッドの布陣となっている。これは、もったいないというより、意義あるグレード構成の変更、ガソリン車外しと言っていいだろう。

 OEM車として、残念なグレード展開のクルマもあったりする。たとえば、日産デイズと三菱ekワゴン/クロスは、細かい装備差やハイウェイスターに対するクロスオーバー風モデルのekクロスといったキャラクター違いこそあれど、グレード展開は大きく変わらない。

 が、日産セレナと、そのOEM車のスズキ・ランディになると、様相は一変。セレナの人気グレード=エアロモデルのハイウェイスターに相当するグレードがないだけでなく、これまた今ではセレナの主力となっているe-POWERグレードもなし。ガソリン車とマイルドハイブリッドのみの3グレード展開(セレナはAUTECHを含め、なんと21グレード以上もある!!)で、スズキのユーザーのアップグレードとなっても、積極的に選びたくなるミニバンとは言い難い。

 最後に、グレード構成がもったいない……ではなく、” なぜあえて外した?”グレードがある1台として挙げられるのが、販売絶好調、2020年1~6月の全乗用車販売台数1位のトヨタ・ライズだ。その理由はちょっと異例で、兄弟車のダイハツ・ロッキーが全車にスマアシ標準装備なのに対して、ライズの最廉価グレードのXは、今どき、自動ブレーキなどを含む先進運転支援機能のスマアシなし(オプション設定もなし)。売る気のない先進運転支援機能外しグレードとはいえ、こ、これは残念すぎやしないか。

 逆に、とんでもなくグレード構成が多い車種もある。たとえば、日本における輸入セダン販売台数NO.1のメルセデスベンツのCクラスセダンに至っては、選ぶのに大いに悩める13グレードもあるほどだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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