【試乗】新型レヴォーグ・プロトは4WSばりのカミソリハンドリング! 「手放し」まで手に入れた「アイサイトX」にも驚き (1/2ページ)

切り出した瞬間にノーズが動く「鋭い刃物」のようなハンドリング

 新型SUBARUレヴォーグ・プロトタイプに触れて、驚かされたことは数限りない。基本的にはキープコンセプトであり、スバルの歴史上のひとつのモデルに過ぎない。だが、その中身に触れると、熱く煮えたぎるようなスバル開発陣の思いが込められていることを知ったのだ。新生スバルの、これからの隆盛への狼煙のように感じたのである。

 クルマを前にして感じたのは、「かっこいい」という単純な感想である。前後に長く、安定感のあるフォルムを形成している。だが、フロントマスクは鋭く前方を見据えるような力強さが感じられたし、リアエンドの造形にも存在感がある。それでいて安心感があるのは、これまで長い年月を重ねる中でスバルが育ててきたツーリングワゴンならではの公式に則って筆を振るったからであろう。

 にもかかわらず、走りは劇的に変化した。先代モデルから乗り換えた瞬間に、これがレヴォーグであることをにわかに疑いたくなるほどに、変身していたのだ。

 エンジンは水平対向4気筒1.8リッター直噴ターボを搭載する。前後に短く、クラッシャブルゾーンを確保するための細工が行き届いている。だが、先代の1.6リッターと比較して最高出力に劇的な変化はない。わずか7馬力のアップでしかない177馬力である。だが最大トルクは250N・mから300N・mに向上している。とはいうものの、加速感には驚くほどの変化はない。必要にして十分なパワーが得られたに過ぎない。

 劇的に変化したのは操縦性である。走り始めた瞬間に襲ってきた、鋭い刃物のような切れ味には驚かされた。ステアリングのほんの数ミリの入力でさえ、ノーズが大胆に反応した。同時に強烈な旋回Gが立ち上がる。身構える僕の予測を大幅に超えていたのだ。ちょっと頭がクラクラっとした。

 電動パワーステアリングはフリクション感がほとんどなく、なおかつステアリングギア比を切り詰めたことでシャープな反応を示す。

 スバル初の電子制御ダンパーは、初期から鋭く減衰力が立ち上がる。ボディ剛性も際立っている。鉄板と鉄板の接着エリアを増やしたことなどが効いて、強固なボディに成長したのだ。それらの相乗効果で、ステアリングレスポンスがドキドキするほど高まったのだ。

 切り込んじだ瞬間、4WSなのかと我が感覚を疑った。後輪が逆位相に転じたのかと信じて疑わなかったほどの切れ味なのだ。

 それでいて、コーナリング中のスタビリティは高い。サスペンションストロークが増えたことで、簡単にはグリップを身離すことはない。フロントの切れ味は鋭くても、テールハッピーではないのだ。これには驚かされた。

 ダンパーの減衰力が鋭く立ち上がるから、その分乗り心地の悪化も感じた。路面の微細な凹凸にも反応してしまう。試乗車はプロトタイプであり、走行距離も進んでいなかった。距離を重ねればあるいはなじみが得られるかもしれない。


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