【今さら聞けないタイヤの基礎知識】オールシーズンタイヤならドコでもOKじゃない! スタッドレスとの違いをヨコハマタイヤが徹底解説 (1/2ページ)

【今さら聞けないタイヤの基礎知識】オールシーズンタイヤならドコでもOKじゃない! スタッドレスとの違いをヨコハマタイヤが徹底解説

じつは40年ほど前にもオールシーズンタイヤは存在していた

 異常とも言えるような酷暑を乗り切り、地域によってはそろそろ冬支度を考え出すころではないだろうか? タイヤにとっても、降雪地域などはスタッドレスタイヤの出番が近づく季節。今では雪道も走れる性能を持ったオールシーズンタイヤも登場している。次の冬は新調しようと、両方が気になっているという人も多いことだろう。そこで、今回は横浜ゴム株式会社 消費財製品企画部の小松星斗さんに、オールシーズンタイヤを中心にお話を伺った。

インタビューに対応してくれた横浜ゴムの小松さんのバストアップカット

──初歩的な質問なのですが、あらためてオールシーズンタイヤについて教えてください。

 じつは、オールシーズンタイヤの歴史は古く、30〜40年前にも日本市場に存在していたことがありました。ただ、現在のオールシーズンタイヤと呼ばれるものとは別物なんです。昔と現在で何が違うのかというと、まず、基本的な性能は当然ながら格段に向上しています。その名のとおり、四季を通してより安心して走行できるように考えられています。

 10年くらい前から欧州で現在の製品のような特性を持ったオールシーズンタイヤが流行り始めました。地域的には西欧、ドイツやオーストリアといった比較的積雪が多くなく、冬場は除雪もしっかりされていて路面上の雪は溶けているような地域での需要が伸びています。

 最近ですと、ドイツのタイヤ市場全体でオールシーズンタイヤの構成比は約15%くらいまでに成長してきています。このような性能を持つオールシーズンタイヤが、日本でも注目を浴びるようになってきています。

──30〜40年前に存在していたというオールシーズンタイヤはどのような性能を持っていたタイヤなのですか?

 コンセプト的には、現在存在しているものと近いものだったと思います。ですが、今のような技術や材料のない時代ですから、今のオールシーズンタイヤのような性能は持っていません。

 現在のオールシーズンタイヤが昔のタイプのものと一番違うところは、雪でもしっかりと走れますよ、というところです。厳密に言えば、オールシーズンタイヤに対してはっきりとした規格は存在していないんです。ただ、弊社がオールシーズンと呼ぶタイヤには、“スノーフレークマーク”が与えられています。これが、雪でも走れますよという証明になっているのです。このマークは公的な認証マークで、これを獲得するために一定の実車試験を行って、性能がきちんと基準を満たしていることを示さないといけません。

スノーフレークマークのイメージカット

──欧州にはウインタータイヤというものがあると聞いたことがありますが、これはオールシーズンタイヤとは異なるのでしょうか?

 そうですね、オールシーズンタイヤとは異なるものになります。より雪に特化した商品となっていまして、日本では冬用といえばスタッドレスタイヤが一般的ですが、それと同様に、欧州では冬用といえばウインタータイヤが一般的です。スタッドレスタイヤとウインタータイヤの違いというのは、スタッドレスタイヤはアイス(氷上)性能に強いということ。それは日本の路面環境を考慮した性能が与えられています。

 一方ウインタータイヤは、アイス性能はスタッドレスタイヤほどではないのですが、雪道であっても速い速度で安全に走れる性能を持っています。あとは雪とウエット性能に比重を置いています。

──なるほど、どちらも日本や欧州の路面環境に合わせたベストな冬用タイヤなんですね。では、気になる日本のサマータイヤやスタッドレスタイヤと、オールシーズンタイヤはどのような違いがあるのか、あらためて教えて下さい。

 オールシーズンタイヤは、サマータイヤとスタッドレスタイヤの中間を目指していかなくてはいけません。タイヤの性能はどこかを良くすればどこかが悪くなるという、二律背反するものですが、普通に開発してしまうと中途半端な性能になってしまいます。ですが、技術開発によって高いレベルで性能を維持できるようになっています。

横浜ゴムのオールシーズンタイヤブルーアース4S

 具体的に、ひとつはトレッドパターンです。溝の量をサマータイヤとスタッドレスタイヤの中間に設計しています。一般的に溝が多ければ多いほど雪道での走行性能を高めることができます。それはおもにふたつの効果があり、溝の角(カド)により路面の雪を引っ掻くエッヂ効果と、溝が雪をつかんで踏み固めて排出する力(雪柱せん弾力)を得る事ができるからです。

──横浜ゴムさんをはじめ、各社オールシーズンタイヤはV字のトレッドパターンを採用していますが、この形状は性能発揮のため大事なのでしょうか?

 この形状がベストなのかと言われれば、まだ研究され尽くしているわけではないのでベストとは言い切れません。ですがわれわれが考えるには、溝の面積と接地面、ドライ路面を走るには“陸”の面積が必要になってきますので、そのバランスがうまく取れるのがこういった溝の入り方だろうという、現段階でのベストな形状を採用しています。

ブルーアース4Sのトレッドパターン

──スタッドレスタイヤはゴムが柔らかかったりブロックの高さもありますが、オールシーズンタイヤではサマータイヤの性能も持たせなくてはならないので、まったく同じ技術は投入できないわけですよね?

 おっしゃるとおり、ゴム自体も違いがあります。

──なるほど、形状などでサマータイヤとスタッドレスタイヤの特徴をうまくバランスさせているわけですね。

 そうですね、それに加えてゴムの種類もサマータイヤとスタッドレスタイヤでは別のものを採用していますので、それらもうまく融合させて性能を発揮させています。

──オールシーズンタイヤの登場によって、市場からはどのような声が寄せられましたか?

 本格的な市場導入をする前に、試験販売を行いながらマーケティング調査を行っていたのですが、やはりお客さまからの反応は良かったですね。東京モーターショーに展示させていただいた際も質問が多く、注目度は高かったです。

 ですが、このオールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤと比べて氷上性能が違いますので、この商品をお客さまにどのように使っていただきたいのか注意しながらおすすめしなければなりません。販売店などで間違った売り方をされてしまうといけないので、どうやって販売していくかということを社内でじっくり検討して上市に至っています。

──夏タイヤで雪も走れると謳ってしまうと、タイヤに詳しくない人には万能なすごいタイヤが登場したから、オールシーズンタイヤを装着していれば大丈夫と思われてしまうかもしれないという難しさもありますね。

 すべての性能を満たす完璧なタイヤというのは、現在の技術では難しいかと思います。やはり雪道でも凍結路面では確実にスタッドレスタイヤのほうが有効です。たとえば都内にお住まいの方でも頻繁にスキーや郊外に行かれる方にはスタッドレスタイヤをおすすめしなければなりません。

アイスガード6での走行イメージ

──最近では都内でも突発的に積もるような降雪がありますが、そのような状況に対応したいという方にはオールシーズンタイヤがおすすめですね。

 おっしゃるとおりですね。ですが、降雪地域にお住まいでスタッドレスタイヤを当たり前に装着する方にも、サマータイヤの代わりにオールシーズンタイヤを使っていただくのは有効かと思います。たとえばスタッドレスタイヤへ交換する予定よりも前に急に雪が降ってしまったとか、もう大丈夫だろうとサマータイヤに戻したら季節外れの雪に降られてしまった、というケースも見受けられます。そのような状況でも、オールシーズンタイヤを装着していれば安心ですから。

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