安さが取り柄だった「コンパクトカー」の常識を変えた「偉大なる」6台 (1/2ページ)

2000年代初頭にはエポックメイキングなコンパクトカーが続々登場

 いまや国産車のトップセールスを誇るコンパクトカー。しかし、かつては安かろう、悪かろう、というか、値段なりのクルマだったものが、あるきっかけで、偉大なるコンパクトカーとなったことを覚えているだろうか。ここではそんな国産コンパクトカーに一石を投じたモデルを紹介したい。

1)ホンダ・フィット(初代)

 まずは、誰がなんと言おうと、初代ホンダ・フィットである。そのデビューは2001年。ホンダ独創のセンタータンクレイアウトを用いたグローバルプラットフォームを採用し、2002年日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほか、グッドデザイン賞も受賞。

 クリーンで親しみやすいエクステリアデザインもさることながら、国産コンパクトカーの概念を変えるほどの走行性能、そして何といってもセンタータンクレイアウトによる抜群のシートアレンジ性、積載性が新しかった。2001年6月の発売から年末までで約10万台を販売した当時のトップセラーモデルになったのである。

2)トヨタ・イスト(初代)

 翌2002年に登場した初代トヨタ・イストもエポックメイキングなコンパクトカーだった。それもそのはず、以来、世界的なトレンドとなった、コンパクトクロスオーバーモデルの先駆けだったのだ。ベースは当時のヴィッツながら、大径タイヤ(だから小回りは効かなかった)とクロスオーバーSUV風のルックスをまとい、北米(サイオンブランド)、欧州でも大ヒット。

 国内では発売1カ月で4万台を超える販売台数を記録したほどの人気だったのである。走行性能的にはヴィッツと大きく変わらないものだったが、やはりコンセプト、デザインで売れまくった1台である。

3)日産キューブ(2代目)

 日産車からは、2代目キューブを挙げたい。デビューはイストと同じ2002年。前年のジュネーブショーでコンセプトカーとしてお披露目されていたのだが(車名は異なる)、ネーミングのとおり、キュービックなエクステリアデザイン、左右非対称のリヤデザイン、Cube My roomのキャッチコピーどおり、インテリア感覚あふれる室内、オシャレさんにぴったりな、ラゲッジスペースにクローゼットを備えるなど、イストとは違うコンセプト、使い勝手のハイトワゴンとして、これまた大ヒット。

 いまみても、古臭さなどまったく感じない、デザインコンシャスでもあるコンパクトカー業界に一石を投じた1台であった。また、コンパクトカーにして、キューブキュービックを名乗る3列シートモデルがあったのも特徴的だ。今年の3月に3代目が生産終了。それを惜しむファンも多いはずである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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