言われないだけで「他ジャンルの融合」も結構あるのにナゼ? クロスオーバー=SUVのイメージが定着したワケ (1/2ページ)

クロスオーバーSUVという言葉は初代RAV4から広まった

 いま世界的にクルマのスタイルとして盛り上がっているのが、いわゆる「クロスオーバーSUV」と呼ばれるカテゴリーだ。オフロード走行に対応できるような余裕のロードクリアランスを持ちつつ、メカニズム的にはモノコックボディの乗用車ベースとすることで、乗り心地や燃費性能というオフローダーのネガをなくしたこと、また走りと積載性能の好バランスにより世界的な流行となっているのは、ご存じのとおりだ。

 そのルーツといわれるのがトヨタRAV4で、デビュー当時はライトクロカンという呼ばれ方をしていたが、世界的なトレンドになっていくなかで、乗用車とオフローダーの“いいとこどり”をしたことを表現する呼び名として「クロスオーバーSUV」が定着していったという経緯がある。

 ところで、クロスオーバーという言葉はふたつの要素を掛け合わせたというニュアンスがある。しかし、いまクロスオーバーというとイコールSUVと考えがちだ。しかし、複数のカテゴリーの要素を持つ商品企画であればクロスオーバーといって差し支えないはずだ。

 たとえば、20世紀初頭に生まれた「シューティングブレーク」というカテゴリーは、もともと貴族の狩猟用モデルという意味合いだったが、クルマの形状としては2ドアクーペとステーションワゴンのクロスオーバーといえるスタイルが、ひとつの基準だった。現在はメルセデス・ベンツが5ドアながら、クーペライクなステーションワゴンにシューティングブレークという名称を与えているが、これもクーペとステーションワゴンの融合形という意味では立派なクロスオーバーといえる。

 同様に、セダンとクーペを融合した4ドアクーペというスタイルも輸入車を中心に多くみられるが、こちらもある種のクロスオーバーといっていいだろう。その原点といえるのが、トヨタのカリーナEDだが、いかんせん“やせ我慢”を強いられる居住性から日本では廃れていった。最近のドイツ車で目立つ4ドアクーペはボディサイズを大きく成長させることで、スタイリッシュさと実用的なキャビンスペースを両立させていることでメインストリームとなり、いわゆるショーファードリブン以外の4ドアセダンは、多くのモデルが4ドアクーペ的なルックスになっている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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