日本と海外で違う「ミニバン」の捉え方! 日本独特の文化とは (2/2ページ)

ギャップが一部のユーザーの需要を生んでいる

 つまり、ベルランゴやカングーはミニバンというよりは、端的にバンなのである。

 そのため、フランスのバンと日本ミニバンを、価格帯だけでトヨタ・シエンタ、ホンダ・フリードから、トヨタ・ノア/ヴォクシー、日産セレナ、ホンダ・ステップワゴンなどと単純比較することは、商品企画の観点からはあまり意味がない。

 だが、ユーザーからしてみると、フランスの商用車ベースのバンと、日本市場に特化して多彩な装備を持つ日本ミニバンを、セダンやSUVにはない広い空間を楽しむという点では、同じテーブルでクルマ選びをすることになる。

 結果的に、日本ミニバンにはない魅力を、フランスのバンに感じることになる。

 さらに価格帯を上げて考えると、欧州系ではメルセデス・ベンツVクラスがあるが、ここでもライバルをトヨタ・アルファード/ヴェルファイアや日産エルグランドとするべきではなく、実質的なライバルは商用寄りのトヨタ・グランエースとなる。

 その他、アメリカにも、トヨタ・シエナなど大柄なミニバンが存在するが、一般家庭での多人数乗車や大きな荷物への対応としては、ミッドサイズSUVやフルサイズSUV、さらにはミッドサイズピックアップトラックやフルサイズピックアップトラックが好まれる傾向が強いため、相対的にアメリカ市場でのミニバンの存在感は薄い。

 このように、欧米でのバンやミニバンと日本ミニバンは違うカテゴリーに属しており、乗り味、ハンドリング、居住性、燃費などを、欧米vs日本で比較することは、メーカー側の感覚ではとても難しく、逆にそうしたギャップを一部の日本ユーザーが楽しんでいるのだと思う。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
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動物たちとのふれあい
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