このご時世に「MT」でしかも200万円以下! いまや貴重な「走り系」実用車4選 (1/2ページ)

家族で使えるスポーティで楽しいクルマは数多い

 約20年前までは、ファミリーカーの価格について200万円を上限に考えるユーザーが多かった。ホンダの初代ステップワゴンのようなミドルサイズミニバン、日産の初代エクストレイルなどのミドルサイズSUVは、いずれも200万円前後に買い得グレードを設定して好調に売れた。

 ところが今のステップワゴンやエクストレイルは、ノーマルエンジン車でも売れ筋価格帯は280〜300万円だ。20年前に比べて安全装備と運転支援機能は大幅に進化したから、機能の違いを考えると現行型が割安ともいえるが、価格上昇は避けられない。

 その一方で平均所得は1990年代の後半をピークに下がり、最近では少し上向いたが20年前の水準には戻っていない。つまりクルマは値上げされて所得は下がったから、小さなクルマに乗り替えるユーザーが増えた。そこで後席が少し狭くても、家族で使えるスポーティで楽しいクルマを紹介したい。MTの設定を条件に選んだ。

1)スズキ・スイフトRS(178万2000円/5速MT)

 もっとも注目されるのはスイフトRSだ。直列4気筒1.2リッターエンジンを搭載するコンパクトカーだが、RSには5速MTもある。パワーを出し切った走りを楽しめる。

 しかも足まわりのショックアブソーバー、16インチタイヤ、パワーステアリングコントローラーは、すべて欧州仕様に準じた設定だ。乗り心地は少し硬く、低速域では上下の揺すられ感も生じるが、車両重量は870kgと軽いから操舵に対する反応は機敏で良く曲がる。5速MTを選べば、素直な運転感覚と相まって、若いドライバーが運転の基礎を身に付ける教材にも最適だ。ベテランもスポーティドライブを堪能できる。

 後席に座る乗員の膝前空間は、身長170cmの大人4名が乗車して、握りコブシ1つ少々だ。視覚的には窮屈だが、後席に座る乗員の足が前席の下側に収まりやすいから、実際はさほど窮屈ではない。長距離の移動でなければ家族でも乗車できる。

2)トヨタ・ヤリス 1.5Z(187万1000円/6速MT)

 2020年に登場したヤリスは、直列3気筒1リッター、1.5リッター、1.5リッターハイブリッドを用意する。このなかで1.5リッターノーマルエンジン車は、全グレードに6速MTを用意した。車両重量は1000kg以下だから加速感も軽快だ。

 プラットフォームや足まわりも刷新されたので、操舵したときの反応が機敏で良く曲がる。峠道では旋回軌跡を拡大させにくく、スポーティな走りを満喫できる。

 衝突被害軽減ブレーキが充実したことも特徴で、歩行者や自転車を検知できる。自車が右左折するときに、直進してくる車両や横断歩道上の歩行者に対応できるメリットもある。安全性が高い。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
-

新着情報