「地味」さゆえの苦悩! 選ぶ価値は十分なのに「派手系グレード」に埋もれがちなエンジンのクルマ3選 (2/2ページ)

標準フェイスのターボを搭載した軽自動車はコスパに優れている

2)トヨタ・クラウン

 国産セダンの雄といえばトヨタ・クラウンも忘れられない。こちらは3.5リッター、2.5リッターという2種類のハイブリッドがメインで、2リッター4気筒ターボエンジンは忘れられがちだ。

 最上級に位置づけられるのが3.5リッターV6エンジンのマルチステージハイブリッドでシステム最高出力は264kW(359馬力)で、2リッターターボの180kW(245馬力)を大きく上まわる。パフォーマンス重視であれば、V6ハイブリッドを選ぶのがクラウン・オーナーの基本といえるだろう。

 ちなみに2.5リッター4気筒エンジンハイブリッドのシステム最高出力は166kW(226馬力)となっている。フィーリングはさておき出力だけを見比べると、2リッターターボを積極的に選ぶ理由は見当たらないというくらいの違いしかない。もちろんパドルシフトを備えた8速ATで4気筒ターボをコントロールする楽しみはハイブリッドにはないものだが、クラウンのV6ハイブリッドには疑似的なものとはいえ10速マニュアルモードがあったりするのだった。

 さらに燃費性能でいうと、V6ハイブリッドが16.0km/L、4気筒ハイブリッドが20.0km/L、そして2リッターターボは12.4km/L(いずれもWLTCモード)となっている。この性能差を見ても、あえてガソリンターボを選ぶ意味は見つけづらいといえそうだ。

 なお、価格帯でいうと3.5リッターハイブリッドが710万7000円~739万3000円、2.5リッターハイブリッドが489万9000円~597万9000円、そして2リッターターボは509万9000円~575万9000円。2.0リッターターボだから廉価というわけではなく、2.5リッターハイブリッドの中に埋没気味になってしまう。こうした価格設定もあって、2リッターターボが現行クラウンのラインアップにおいて地味な存在となっているのは否めない。

3)軽自動車

 ガラッと趣向を変えて、今度は軽自動車における埋没系グレードを紹介しよう。特定モデルに限らず、見落とされがちなのはターボエンジンを積んだ標準系グレードだ。

 パワフルなターボエンジンを積んだ軽自動車といえば、いわゆる「カスタム系」と呼ばれるグレードに注目しがちだが、じつは標準系にターボエンジンを用意しているモデルは少なくない。そして、こうした標準系+ターボエンジンというのはコスパ的に見逃せない魅力を持っていることが多い。

 たとえばダイハツのハイトワゴン「ムーヴ」の場合、カスタム系のターボモデルであるRSグレードの価格はFFで165万5500円となっているが、標準顔のXターボグレードであれば同じターボエンジンを積んでいても137万5000円となっている。

 ホイールサイズの違いなど装備差は大きいので価格差も妥当とはいえるが、単純に「ヒュンヒュンと元気に走る軽自動車が欲しいからターボエンジンであることは外せない」というユーザーであれば標準系を選んだほうがオトクに感じることだろう。

 ほかにもダイハツのスーパーハイトワゴンであるタントの場合、同じターボエンジン搭載グレードでもカスタム系は185万3500円なのに対して標準系は164万4500円となっていたりする。

 同様に、ホンダでいえばN-BOXの標準系ターボ車は175万8900円、カスタム系では196万9000円、N-WGNでは標準系が152万9000円、カスタム系が169万4000円になる。いずれにしても無視できない価格差があるわけで、名を捨てて実を取るのであれば標準系ターボというのは埋もれさせてしまうには惜しいグレードなのである。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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