バカ売れだった「ヴェルファイア」が「アルファード」に大差を付けられた! 1グレードのみに縮小で「風前の灯火」状態の理由 (2/2ページ)

ミニバン需要が変化したことや全店併売による影響も受けた

 次に言えるのは、このクラスのミニバンの需要が、一般ユーザーだけでなく、法人、政治家、VIP、芸能&音楽関係者にも広がったことが挙げられる。それまで高級セダンを愛用していた人たちも、後席(2列目席)の広さ、室内のファーストクラス並みの豪華さ、快適さ、装備の充実度、そして両側スライドドアによる乗降性の良さなどを知り、一気に高級ミニバンに流れ、乗り換えるようになったのである。実際、筆者の友人のクルマ好き大物音楽プロデューサーも、アルファードを社用車としている。

 とすれば、若くやんちゃなVIP、芸能&音楽関係者なら、ビレット風グリルのヴェルファイアでもOKだろうが、政治家、法人、VIP、大御所芸能&音楽関係者であれば、ミニバン界のクラウン的な威厳ある顔つきを持つアルファードを選びたくなるのは当然だろう。とくに2018年1月のマイナーチェンジ以降のアルファードの顔つきは、高級車然とした迫力、押し出し感とともに、フォーマル感でヴェルファイアを圧倒するからである。

 もっと現実的、というか大人の事情的な話をすれば、2020年5月に実施されたトヨタの販売体制の変更も大きい。それまで、アルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはトヨタ店、カローラ店、ネッツ店で販売していたものが(だから以前はヴェルファイアの販売台数が多かった!?)、アルファードもまたトヨタ全店で販売できるようになり、一気に販売台数を伸ばしたことは当然の成り行きだろう。

 また、現時点での両車のスタート価格は、ヴェルファイアの424万円~、アルファードの359.7万円~となり、アルファードの買いやすさが(実際にはハイグレードが売れているのだが)幅広いユーザーにアピールし、今後も人気に一層の拍車をかけていくはずである。

 プチバン兄弟車のルーミー&タンクもルーミーに統一され、しかしそれが功を奏したのか、ルーミーの人気は激上がり(2021年4月の全乗用車販売台数でヤリスに次ぐ2位)であることを考えると、この先、アルファード&ヴェルファイア兄弟が、アルファードに統合されてもおかしくはない。残価設定プランの残価、下取り価格でも、人気で大きく上まわるアルファードが有利になることは間違いないと思える。

 今後、ヴェルファイアの存続がどうなるか分からないが、「いつかはヴェルファイア!!」と思っている人は、新車でヴェルファイアを手に入れるなら、「今でしょ!!」(古い?)ではないだろうか。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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