ポルシェが生んだ伝説の「怪物」! 「959」の正体とは (2/2ページ)

2度目の試乗はド緊張のなかで行われた

 そして、2018年7月12日、人生2度目となる959をドライブするチャンスに恵まれた。その舞台は、伝統のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード。ここでヤラかしては日本人の恥、冗談にもならない話ではないか。

 なぜオレが959に当たるのか、と思いながら、スタッフのお兄さんのあとを追う。足が地につかないというのはこういうことをいうのだろう。しばらく無意識に近い状態で歩いていると、そこには例の911に似てはいるが、共通するボディパネルはルーフなど限られた部分のみという、独特なオーラを放つ1台の959があった。

 聞けばこの959はポルシェ・ミュージアムが所有するもので、これからいろいろなイベントにも使用されるという。絶対に、絶対にクラッシュはダメだが、少しくらいは久しぶりに959というものを味わってみたい気もする。いやしかし、いまは新車のときとは取り引きされる価格もクルマとしての価値も桁違いだし、修理費やメンテナンス費用も異常に高いらしい……。

 スタートの時間が近づき、コクピットへと身を委ねる。「わからん、ともかくわからん」。Gギアのことはすぐに思い出せたが、これは普通に使うべきものなのか。そのシフトレバーの前にあるスイッチでダンパーや車高、そしてどこかのスイッチで、前後駆動力配分に連動したドライブモードを選択できるはずなのだが、「知らん、知らんぞ。頼みの綱のおにいさんもどこかに行ってしまったし……」。

 スタートまであと5分。この年のホストメーカーはポルシェだったから、959など目立たぬわけがない。こうなったら覚悟を決めて、とりあえず「踏めるところまで踏む」、「いらんスイッチには触らない」作戦で行くしかないだろう。結果としてこの作戦は大成功だった。もちろんクラッシュなどせず、滝汗の身体で959を返却することができたのだから。ちなみに2度目のドライブとなる959はすごく速かった、それしか覚えていないが……。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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