新時代のフラッグシップの開発は継続! NSXタイプSのマーケティング担当を直撃取材した (2/2ページ)

NSXオーナーならではの特殊な事情を直撃!

−−実際に初代から2代目に乗り換えた、あるいは併有したユーザーはどのくらいいるのでしょうか?

井村 正確には把握していませんが、ご主人と奥様で2台、新旧NSXでイベントにお越しになる方もいらっしゃいます。本当にお好きな方がいらっしゃいまして。

−−2代目になってこれまでのユーザーが逃げてしまった、あるいは逆に新しいユーザーが入ってきた、ということはあるのでしょうか?

井村 たしかに価格面が違うので、新しいユーザーもいらっしゃいますが、ホンダが好き、NSXが好きという想いが根底にある方が非常に多いので、そこまで大きくユーザーが変わったという印象は受けていません。

−−実際の購買層としては、初代の所有経験がある人が多いのでしょうか?

井村 現実的にはお金の問題がありますので、それが8〜9割かというと、そうではないですね。5割いらっしゃればいい方だと思います……統計データはないのですが。

−−2代目NSXの価格帯は、競合が非常に多いですよね。とくにポルシェさんやフェラーリさんとも直接バッティングするので、それが非常に辛かったのではないかと。

井村 そうですね、あちらは超富裕層の方々を本当に手厚くおもてなししてご商売されていますから。

−−その辺りが、ビジネスとしては厳しかったのでしょうか?

井村 ただ、フラッグシップとして存在するということに、大きな意味がありましたね。日本ではしっかり販売計画も達成していますし。またこれは個人的な感想ですが、フリードやフィット、N-BOXを作っている会社が、こういうすごいクルマを作っているんだというところを感じていただくという役割を、すごく果たしてくれていると、私は感じていますね。

−−いま時代が大きく変わる端境期にありますので、非常に難しいとは思いますが、やはり次のNSXが欲しいですね。すぐには無理でも、コンセプトカーを出して、企画くらいはしていることを匂わせつつ、10年後くらいには市販化してほしい所ですが……。

井村 三部社長はそういうことに積極的なので、私も期待しています。

−−レジェンドも年内で生産終了しますし、北米にはMDXがあるにしても、ホンダさんのトップエンドが大きく下がりますから……。

井村 ホンダは登録車と軽自動車の両方に力を入れているメーカーですので、元気があるモデルを出せるようにしていきたいと思いますね。

−−そういう意味では、これは完全に私のただの要望ですが、新型インテグラをぜひ日本でも販売してほしいですね。

井村 ああ、そうですよね。名前からしても元気が出そうですね。

−−今の所は北米だけとなる可能性が高いと耳にしていますが、日本にはシビックタイプRがあれば充分というのが現実だとしても、ちゃんとしたクーペ、スポーツカーらしいスポーツカーという意味では日本にも必要だと思いますね。しかも「インテグラ」という車名は日本でもいまだに知名度が高いですから。タイプRがあればなお良し、ですが(笑)。

井村 そうですね。

−−逆に北米ではシビッククーペがくなる……?

井村 いや、ないという話は聞いていないですね。

−−では、新型インテグラはアキュラ用のクーペとして、NSXとほぼ入れ替わるようにして発売されるわけですね。

井村 はい。

−−日本でも、フィットRSの代わりにN-ONE RSが発売され、その一方でS660が生産終了となりますが、そういう意味でも国内にインテグラがあるといいですね。……NSXがなくなるのであればなおのこと。

井村 元気のある、登録車を引っ張っていってくれるような存在ですね。

−−あえて生臭い話をすれば、そういうクルマは客寄せパンダでもいいと思うんですよ。そのクルマを見にお店へ来たお客さんが、ほかのクルマでも買ってくれれば。そういう役割ででも、あればいいなと思いますね。

井村 「おお、面白いのを出してきた」というのがあれば、なおいいですよね。

−−とくにここ最近ホンダさんは、モデル廃止や工場閉鎖など、リストラ策が相次いでいますから。

 >井村 ちょっと目立っていますよね(苦笑)。

−−ブランドをご担当される部署としては、非常にお辛いのでは?

井村 おっしゃる通りです。商品とブランドは、メーカーとしてはかなり密接なので。

−−そういう所で盛り返していただきたいですね。最後に、NSXタイプSのプロモーション展開は?

井村 実車を披露するのが非常に効果があるので、コロナ禍の状況次第なので詳細はまだご案内できませんが、カーイベントなどでできるだけ目に触れる機会を増やしていきたいと思います。

−−F1日本GPも中止になりましたしね。

井村 モーターショーで1時間待ちになった、見ていただいたらワッと驚くクルマなので。とくに今回のタイプSはマットカラーが非常にアグレッシブでエキサイティングなデザインになっていますので。

−−あとはホンダミーティングが開催できるかどうかですよね。

井村 そうですね。ウェルカムプラザ青山で展示させていただきながら、その辺のイベントを活用していきたいですね。

−−これからの展開に期待しています。ありがとうございました!


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
好きな有名人
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