日本の2大スーパースポーツが真逆の事態! NSXは終わるのにGT-Rが存続できるワケ (2/2ページ)

運転も旅も楽しめる高性能GTカーであり続けるGT-R

 海外の例では、フェラーリはスポーツカーで、ポルシェはGTカーだ。しかしどちらも高性能で、レースにも出場するので、日本ではどちらもスポーツカーといわれることが多い。

 ポルシェを代表する911が世代を超えて後席を備えるのは、GTの証のひとつといえる。一方、ボクスターやケイマンはふたり乗りであり、運転を楽しむことに重点を置いた車種だ。それでも基はGTとして歴史を刻んだメーカーだから、ボクスターやケイマンで小旅行を楽しむこともできるだろう。

 近年はスポーツカー専門メーカーでも4人乗りの乗用を重視した車種も加わるようになり、GTのメーカーでもSUVが選べるなど、スポーツカーかGTカーかの定義が、メーカーが築いてきた歴史だけで語るのが難しくなりつつある。それでも、語源を理解することで、存在価値を改めて認識することができるのではないか。

 そしてNSXは、2000万円近くの高額になり、運転を楽しむためだけに使える人は限りがある。同じスポーツカーでも、フェアレディZやロードスターは身近に楽しめることを重視し、乗用車の部品を流用するなどして構成するので、より多くの人が手に入れることができ、販売台数も見込めるため存続している。

 また、その際の販売の主体は米国だ。NSXもまた、米国主導で開発し、米国を主力の市場としたが、それでも超高性能で高額なスポーツカーの販売台数には限界がある。

 GT-Rは、運転も楽しめる高性能車だが、高速で旅をしても快適という一面もある。

 2007年の登場から14年を経てなお販売し続けるのは、そうした両方の側面をもちあわせた価値が、消費者に認められているからだろう。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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