雰囲気で買うと「ブーイング」必至! ファミリーカーっぽいのにファミリー向きじゃないクルマ5台 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■コンパクトカーだと開口部の狭さが仇となるケースが多い

■大きすぎる車体は行き先が制限されがち

■足まわりが硬いと同乗者から不満が出る場合があるのでちゃんと試乗すること

ファミリーユースに向いてそうで意外と実用性が乏しい車種を紹介

 30年以上前は、ファミリーカーと言えば「セダン」が花形でしたが、90年代半ばからミニバン人気に火がつき、爆発的なミニバンブームに突入。しかし、15年ほど前からSUVが世界中で支持されはじめ、そこから右肩上がりで今ではファミリーカーとしてもSUVは大人気となっています。子供が生まれたらミニバンにするか、SUVにするか、悩んでいる人も多いかもしれませんね。

 ただ現在は、ミニバンの車種が減少していく傾向にあるのに対して、SUVはどんどん増える一方。他車との差別化をして個性を出すために、メーカーはマーケティングに力を入れ、いろいろとアイディアを練り、クルマを開発しています。そうすると中には、一見するとファミリーカーに向いてそうな印象でも、いざ乗ってみると「あれ?」とガッカリしたり、思ったより使いにくいなと感じたりするクルマも出てきています。今回はそんな、ファミリーカーとしてはあまりオススメできないクルマたちをご紹介したいと思います。

1)トヨタ・ヤリスクロス

 1台目は、つるんとした未来的なデザインと、コンパクトで取り回しのいいサイズ感で人気のあるトヨタ・ヤリスクロス。手頃な価格で1.5リッターのガソリンとハイブリッドがあり、ハイブリッドにも高性能な4WDを備えているので、市街地での運転しやすさを求めるファミリーや雪道などを走ることの多いファミリーからも注目されています。

 ベースとなったコンパクトカーのヤリスよりボディサイズを少し拡大し、ラゲッジの使い勝手を向上したり、上級グレードには4:2:4分割可倒式の後席を採用して、4人乗車でも長い荷物が積めるようになっているなど、家族での使用を意識した部分もあります。ただ残念なのは、デザインを優先したために後席のドア開口部がかなり狭く、大人でも乗り降りが大変。

 チャイルドシートのお世話をするのもちょっと大変そうです。そして後席のスペースもタイトで、とくに足もとはぎゅうぎゅうな印象。夫婦2人だけで使うか、子供がチャイルドシートを卒業した小学生〜中学生くらいまでのファミリーなら大丈夫かなというのが正直なところです。

2)マツダMX-30

 2台目は、マツダ100周年を記念するモデルとしてデビューしたマツダ・MX-30。ボディサイズとしてはCX-30とほぼ同じくらいのコンパクトSUVで、これまでのマツダデザインとはガラリとイメージが異なる、ちょっとフレンドリーなフォルムが特徴的。EVモデルとマイルドハイブリッドモデルが用意されています。

 もっとも特徴的なのが、ドアが左右に観音開きとなる「フリースタイルドア」。両側とも開け放つと、オープンカフェのように開放的な空間となるのが気持ちのいいSUVです。これは後席の乗降性をよくする狙いや、福祉車両としては車椅子を折り畳んで収納する際にも使い勝手がいい、という利点があるのですが、難点もチラホラ。まずドアが、後席のドアだけを開けたいと思っても、必ず前席のドアから開けないといけないということ。閉めるときはその逆で、必ず後席のドアを閉めてから前席のドアを閉めるという手順があり、それが慣れるまではとても面倒に感じてしまいます。

 そして、確かに後席の乗り降りは、身体をねじる必要がないので一見するとラクそうなのですが、いかんせんルーフが低くて頭をぶつけやすく、短い全長ゆえに足もとスペースも余裕がないため、その利点をあまり発揮できていないというのが残念。後席に座っている人は、自分でドアを開けて降りるのもなかなか難しいということで、家族で使う場合には、ヤンチャな子供が勝手に外に出てしまうのを防げるというのは好都合ですが、どちらかというと面倒に感じるシーンのほうが多いかもしれません。なのでMX-30も、カップル、もしくは0歳〜3歳くらいまでの子供がいるファミリー向けという印象です。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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