【試乗】「これがCクラス?」驚くほどの車格感! メルセデス・ベンツC200の上質かつスポーティな走りに圧倒 (2/2ページ)

シャープな挙動と快適な乗り心地が同居する

 インテリアにいたっても印象は同様で、中央の11.9インチ縦型タッチディスプレイに、操作機能のほとんどを格納するスタイルであり、正面のメーター類もすべてがデジタルだ。これからもSクラス譲りなのである。

 車格が拡大したから、その恩恵は室内の余裕ある空間に分けられており、前後左右に広い。やはり同様に「Cクラスもここまで広々と成長したのね」との思いがよぎる。

 MBUXには生体認証機能が組み込まれ、指紋や声により、ドライバーを識別する。カーナビゲーションのAR機能もSクラスからの技術。モニターに表示した正面カメラの映像に、右左折の指示を重ね合わせてくれる。モニターだけを見ながら走行できるのではないかと思うほど鮮明でもある。

 ボディが拡大したものの、その体躯を持て余すことはない。というのも、これもSクラス譲りの機能である「リヤ・アクスルステアリング」が組み込まれており、4輪操舵となる。時速60km/hを境に、低速域では最大2.5度まで逆位相に転舵。高速域では最大2.5度まで同位相になる。これによって、最小回転半径はコンパクトモデル並みに小さい。フォークリフトの感覚で、その場でクルリと旋回してみせる。

 走行フィールも軽快だ。リヤ・アクスルステアリングでステアリング応答性が驚くほどシャープに仕立てているにもかかわらず、さらにステアリングギヤ比を切り詰めている。半端なスポーツカーが舌を巻くほど、挙動はシャープである。サスペンション剛性はけしてユルユルと緩めてはないから、不快なロールもない。スポーティセダンと語っても許されそうなほど軽快なステップを踏むのだ。

 もちろん乗り心地が悪いはずはない。このあたりの感覚までは電子制御サスのSクラス並……とは言い難いが、スポーティではありながら脳天を突き刺すような突き上げがあるはずもない。ロードノイズと、リヤ付近からのドラミングが気になるけれど、雰囲気がSクラスに近いことにより期待値の高さがそう感じさせているのかもしれない。Sクラスの亡霊が絶えずつきまとっているのだ。

 だが、搭載するエンジンは、直列4気筒1.5リッターとコンパクト。ダウンサイジングの流れを受けてターボで武装する。しかも、新たにトランスミッションの中に組み込むことになったISGと組み合わされる。モーター出力は15kW、200N・mのトルクでエンジンを加勢する。

 マイルドハイブリッドに属し、モーターのみの走行は不可能だが、エンジン排気量を下げたこと、そしてターボ過給を高めたことでの低回転域の鈍さを補ってくれていた。アイドルストップからの発進などに一瞬の鈍さを感じるのは、あるいはEVに体が慣れてしまったからなのかもしれない。

 とにもかくにも。新型C200は、Sクラスのエッセンスを色濃く取り入れることで車格感を増している。多くの点でライバルを凌駕しており、これからもまたしばらく、Cクラスの優位性を維持しそうである。


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